Dは春2007/04/13 23:41

ピアノって、それこそ触らない日は無いほど、
指揮者にとっては必需品です。
もちろんピアニストにとっても当たり前ですし、
作曲家にとっても否定できないでしょう。

あまりご存知ない方のために、、、。
音楽の基本である音階は、
1オクターブ(ドレミファソラシ)を12等分して
できているのですが、
これは、均等と言う意味で「平均律」といいます。
ピアノは、まさにこの平均律で調整されています。
しかし実際は、2つ以上の音が響きあう場合、
この平均律では音が合わないので、
少しずつ音の高さを調整しながら合わせます。
これには法則があり、この法則を「純正律」といいます。
オーケストラや合唱など、音の高さの変えられる
楽器や人の声は、これら音程を調整しながら、
ハ長調でも、へ長調でも純正律であわせられるのです。

しかしピアノは、そうは行きません。
全ての調正を演奏し、どんな曲にも対応するため、
平均律になっているのですからね。
しかし、やはり良い音の響きがするものと、
合わない音、響きにくい音などあるのですね。
調律をしていると、ひとつづつの音を、
良く聴きながら、また響きを揃えながらなので、
この音の違いによる音楽の性格の差が、
とてもよくわかるのです。
モーツァルトは、単純明快な響きを好み、
♯、♭も、1つ2つといった調を好んで選びましたし、
特にピアノの音楽では、自分の曲想を何調で
演奏するかを直感的に考えたのですね。
こんな感覚も、1本1本弦を調整しながら、
話しかけるように調律すると、
目からウロコが落ちるような発見がたくさんあるのです。


最初はAの音から、そして4度、5度といった関係の
DやE、そして次第にFから黒鍵のB♭と言った具合に
進んでいくのですが、ひとつ進んでは、
基本の音に戻り、また言っては戻ります。
こうして、少しずつ狂うのを防ぎ、
A=442Hzという音叉の微妙な音程の感覚を
確かめながら進んでいくのです。

弦が3本もあると、真ん中合わせてから、
左、右とあわせます。この左右をあわせるのを、
調律業界ではユニゾンといいますが、
これがピタリと合った瞬間の快感は素晴らしい!
1日でなんか、終わらせません!
こんな楽しいこと、数日かけて、ゆっくり楽しみます。
これは、思いがけない今年最高の趣味かもしれない。

まだまだ続く!
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