友人葬儀2022/07/23 10:19

長く生きて居れば実に様々な事が起こりますが、
立ち向かってみたり、諦めてみたり、
自分で対処出来るならば
まだそれなりの思い切りもあるでしょうが、
突然の人の死には何もできなかったという
後悔に近い残機にも似た感情が残ります。

30歳も歳下でしたが頼もしく、
この5年間は公的な仕事ばかりか、
私の個人的な演奏にも協力をしてくれて、
歌うことだけではなく、
人を纏めて先頭に立つという能力にも長け、
創作と想像力に全身全霊を傾ける姿に
年配として、ある時は遠くから拍手を送り、
近くにいれば声をかけて肩を抱き、
共演したら熱の篭ったままのフォーマル着に
手を当てながら、彼の情熱を掌に受けて、
頼もしくそして一緒に何度も乾杯をした。

弟さんと電話で話し、人懐っこい抑揚の効いた
兄貴にソックリな声を懐かしく聞き、
昨日は挨拶に立ったお父様の声が、
美しいテノールで彼の声のルーツを知った。
悲しみに暮れる中なのに、
立派な挨拶で、家族の愛情を思い知った。

あと30年40年と歌えた期待をされた人物。
音楽とか芸術ではなく、真っ直ぐに相手を見る姿に
常に真摯に生きる彼の思い出だけが残った。

残された者も悲しみに暮れるが、
どうせ残されたなら、彼のためにもう少し頑張ろう。
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