2021年元旦2021/01/01 18:59

穏やかな元旦になりました。
少々寒くても、晴天に恵まれ、
細やかながら小さな親戚として集まり、
遠い春を期待して乾杯をしました。

2020年のこのブログも悲喜交交の中では
筆もキーパンチも進まず、
残念ながら順風な日常の書写しには
ならなかった様です。
近年のSNSの流行と利便性にこのブログも
若干汎用性に欠ける様に感じていましたが、
昨年はそのSNSをも更新が進まないほど、
気持ちが前向きになれない時代、いや状況が
日本どころか世界中に満映してしまった様です。

若い方にとっては、時間ごと早く通り過ぎて、
この世界的な疫病の時代が無くなる日を
一刻も早く迎えたいと思っているかも知れませんが、
何せ歳を重ねると一刻を無駄にしたくなく、
そんな時代でも精々生きないと人生がもったいなく
反面辛い毎日を直視するのかも知れません。

オーケストラを支える仕事に奔走をした昨年ですが、
音楽というより、この時代における芸術文化を
試行錯誤しながら過去のあらゆる困難な時代と比較するならば、
これもまた時代に訴えられるか、それ自身の力と、
自分たちの器量も試させられていると、
常に真摯になろうとは努力を続けました。

年末に感染者の数が圧倒的に増えました。
これが沸点か、また新たなステップでしょうか。
時代を運をまかすか、人間の倫理に身を委ねるか、
考えて見ても、手指を洗いマスクをする位しか
抵抗もしくは攻撃する術がないことが虚しく、
溜息を吐きながら日々カレンダーを捲るばかりです。

公演機会をようやく整えて少しまともな演奏会と、
仕事の整えができる様になりましたが、
このままではまた逆戻りかと思うと、昨春から受けてきた
ボディーブローが鳩尾の辺りに痛みを覚えます。

さて、、嘆いていても仕方がない。
せめて少しでも良いこと、前向きな今年を考えて行きたいです。

お陰様で家族も親も健康にお正月に集まりました。
細やかなこんな事も期待できない食卓が世界中にあるので、
心から有難いと思う次第です。
今年は、大きな抱負も目標も持てないのですが、
強いて言えば、心折れぬ様に先に進む事ですね。

周りの方々が、どうか平穏にいて欲しい事と、
未来ある方々が、僅少でも希を持ってくれる事、
この二つを願いにしようと思います。

色とりどりに料理された美味しい正月の愉しみ、
これだけでも嬉しい正月と感じます。

劇場至上主義2021/01/26 22:59

早いもので、1月ももう下旬です。
コロナの影響もあり予想通り正月が明けてから、
緊急事態宣言が発令され・・・現在に至るですね。
オケの仕事をしていますと、この様な制限が
通常のコンサートにどこまで影響を呼ばすか、
発令される直前まで予想がつきにくく、
万が一を考えたり、そう悪くないと慰めたりしながら、
国や県のお達しを受けました。

客席の使用制限とか、夜の公演の制限など、
一般の方々の生活に合わせてやるのですが、
救いであったことは、先般の春の様な、
とにかく全て停止、休止しろではなかったので、
どうにか現在も生き延びて凌いでいる様なものです。

主催公演もたくさんあります。
演奏する側としては、
これまで培った感染予防の術を駆使しながら、
ガイドラインを作ったりしたものですから、
これを遵守しながら粛々と行っています。

クラシックは決して危ないものではないものですから、
不要不朽ではない音楽の必要性を感じていただく
良い機会にもなっていると感じます。
そう言いましても、決して安全ではない中ですが、
生の音楽を聴きにホールに訪ねてくださるお客様に
心より感謝している次第です。

さて、公演、音を出す場所は、音楽ホール、劇場という
専門性のある空間ですが、
私の場合は、音楽が最優先では決してなく、
どちらかと言えば、劇場に身を委ねている時間が好きで、
所謂、劇場至上主義者と言われたくて、
ずっとこの世界にいる様なものなのです。

最近読み直した本と、最近手に入れた本です。

この本は、以前読んでいたのですが、
どこかに紛失して、改めて買ったのですが、
「劇場の構図という」清水裕之さんの著書です。
劇場という場所の価値観と、2500年まえに
ギリシャで人気を博していたギリシャ悲劇、喜劇が
どの様な場所で行われていたかという、
そもそもの演劇の基礎から話をしてくれています。
20年前に読んだ時には、
分からなくて読み飛ばしたことも多かった気がしますが、
改めて読むと見え方が全く違って、
自分自身の見え方の変化や、
それなりに経験を積んでいることにも気づきます。
同化、異化という、演劇形態の話から、
日本と西洋の演劇をちがいも紐といてくれます。
舞台関係者は全員読むべきかと思う、必携本です。

さて次は「世界で一番美しい劇場」

そのままですが・・・。

写真で見ることのできる詳細なディテールに
目を凝らしてみると、
ため息が出る様な装飾から、尖ったモダンな建築まで、
全ての命が吹き込まれている素敵な劇場ばかり。
劇場という空間自体が個性があって、
上演される芝居から音楽があることで、
劇場自体が全てを演出してくれるということです。

まぁ、劇場に負けないものを上演する必要がありますが、
劇場に抱かれながら、または胸を借りながら
表現する側は神の足許で勝負する様な心境でしょう。

個性を出すことが経費の無駄の様に計られた
公共ホールというものが多い中、
この本を眺めると実に勇気が湧く本なのです。

まぁ全てがそう上手くいかない時でも、
こういう本を眺めて思いを馳せていると、
少しは気持ちも晴れるということです。

さて、、、2月も頑張ろう。





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