手賀沼の畔2007/04/18 22:01

武者小路実篤、柳宗悦、志賀直哉、
そして柳兼子、、、
そうそうたるメンバーである。

お世話になっているI氏に誘われ、
I氏の地元でもある我孫子に出かけた。
何年振りだろうか?
余りに長い間行っていなかったので、
常磐線の快速に乗ることも忘れ、
延々と各駅で向かってしまったほど。
I氏は高校時代の少し年の離れた先輩だが、
彼は、有象無象の私の仕事とは大違いで、
社会的にも地位ある仕事のエリート。
でもいつも気にしてくれて、大変感謝です。

『白樺派』の名前をご存知の方は多いが、
この我孫子に「白樺文学館」と言うものが
存在するのをご存知だろうか?
雑誌『白樺』を中心に展開された『白樺派』は、
大正デモクラシーを象徴する文芸活動であるが、
中心人物の彼らは、我孫子に住みながら
活発に行動を展開したので、この地は、
鎌倉と並び称される文学者の聖地と言われている。
彼らの活動の一端、作品などを紹介し、
次世代に、この精神を受け継いで欲しいという
願いから生まれた、私設の文学館なのである。

副館長の渡辺氏に歓迎され、名刺交換などした後、
とても丁寧に説明を受けたが、
志賀直哉の書簡から、雑誌「白樺」の原本、
それらに付随するたくさんの資料に驚く。
また、共鳴し活動を共にした方々の名前が、
さらにすごい・・。
表紙絵には、棟方志功、竹久夢二、また、
民芸運動を我孫子で展開した柳宗悦と親交深い
バーナード・リーチの若き頃のエッチングから、
焼き物の数々。
日本ではあまり知られていない、
リーチの活動はとても新鮮に感じられる。
年表で見ていくと、
大正から昭和を駆け抜けた彼らの生涯が、
日本の激動の時代と重なりあい、また、
志賀直哉も実篤も、70年、80年代まで生きた方々、
語りかけてくるような作品の力と、
写真の中の眼力に、強く訴えかけられる。

この中でも、私が楽しみにしていたのは、
柳宗悦の妻兼子、、、と言うより、
声楽家柳兼子、と敬意を表さなければならない、
彼女の活動をまとめているところだ。
80歳を越えて開催したリサイタルは、
日本の音楽史においても、驚愕の公演だが、
夫宗悦と寄り添うように活動した彼女の生涯を
目の当たりにすると、今まで聴いた音とは、
全く違う響きとなって耳に入ってくる。
白樺派の展示物をさんざん見た後だけに、
地下の静かで落ち着く音楽室で、
ひとりゆっくり復刻版のCDを聴くと、
居ても立ってもいられないような、
焦燥感に襲われ、涙しそうになる・・。

無造作に置かれたような嘘偽り無き創作物は、
必要以上に整理をせず、それがかえって、
決して色褪せる事無い時代の息吹や、
混沌の中から生まれていったエネルギーを
肌で感じる事が出来、秀逸である。

興味ある方、是非尋ねてください。
http://www.shirakaba.ne.jp/index.htm
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