Aの音2007/04/12 01:39

さて、調律の話です。

20年調律していないピアノを勝手にイジルと
一体何が起こるのだろうかと、
調律以前の問題を含みながらも、
構わずどんどん作業を進めてみたのです。
鍵盤の蓋を開け、上部の蓋も開け、
前面のデカ板を外し、鍵盤の蓋も外します。
こんな事は、いつもやっていること。
ココからが問題です。
さて、どこから行くか?何の音から調律か。

賢明なる読者の皆さんは、知っての通り、
チューニングはAの音でやりますので、
誰でも最初の音はわかりますね。
管楽器に慣れているブラスバンドの子は、
間違って黒い鍵盤のB♭の音から
始めてしまうかもしれませんが、、、
それでも構わないものかもしれません。

インターネットなどにも、
調律の手順ってモノは載っていますし、
どれ見ても大概同じ様なやり方だが、
チューナーを使いながらやりましょう、とある。
これが気に食わない!
チューナーとは、音を聞かせると、
機械の判断で、目盛りが左右に行ったり来たりで
音が高いか低いか、一目瞭然の機械なのだ。
こんなの使えば誰でもできるじゃないか!と、
私は、A=442のピッチの音叉1本で、
遣り通そうと強く決意。
基音は「一点ハ音」のA、つまり、
おへその右前辺りに来る鍵盤である。
ここから耳のみを頼りに、
弦をいじっていくのである。

何度も言うが、20年固まったままの弦。
前触れおなくいきなり頭殴って起こすように、
調律を始めるのだから、堪らないでしょうね。
最初はフェルトを弦の間に入れながら、
調律したい音の中でも、1本だけ鳴る様にします。

知らない方の為に・・・
ピアノは、グランドもアップライトも、
寝ているか立っているかで、基本的な構造は同じ。
弦は、一番低い音は、1音に対し1本。
そこから1オクターブ上がると、1音に2本。
更に上がれば今度は1音に3本です。
2本、3本は、連鎖していませんから、
同じ音を3回合わせなければいけないのです。
このフェルトで左右の弦を押さえてしまって、
3本の内の真ん中の弦だけ鳴るようにします。
この音が合っていないとどうしようもない!
最初の一歩が違った為に、
取り返しの付かないミスを重ねたりするが、
こんな事になら無い様に、
慎重に、まず1本の弦から調律するのです。

音叉を耳元で鳴らし、
ピアノのAの音を1音鳴らしながら、
両方の音程差を縮めて行くのですが、
ピアノの弦の張力はとても強いため、
ほんの0.001ミリ動かしただけで、変わるのです。
しかも20年振りの覚醒ですので、
最初は、大変な目覚まし作業となりました。
カウンター