白鳥の如く2006/02/27 19:53

バレエ団のリハーサル。

「羽根のように、羽根のように!」
先生の檄が飛ぶ。
森に潜む魔界の使者ロットバルトに、
白鳥の姿に変えられた乙女たちは、
悲しげに湖を泳ぎ、人間の体を乞うように、
羽根を羽ばたかせるのです。

バレエ団の稽古を観にいきました。公演準備です。
本日はコールド(バレエの合唱だな)の稽古中心、
「白鳥の湖」の楽しみは、コールドのアンサンブルであり、
これが悲しくも美しい白鳥に見えなければならず、
「カラス」にならぬよう、肩甲骨を使って、
美しく、美しく・・・一糸乱れず、美しく。

バレリーナって、遠目に見ると、
美しい衣裳をまとい、流麗に動き、
華麗なるジャンプは、まさに妖精のよう・・・

なんて、思いがちですが、彼女らの近くで見ていると、
その体は、まさにアスリートです。
鋼のような、肩甲骨や上腕三頭筋、
全ての体重やバランスを支える足は、
やわな成人男子の何百倍も強いはずですね。
その強靭なバネや、筋力は、ドラマに沿い音楽に乗ると
みるみる美しい肢体に変わります。
何も語らず、指先まで神経を使って、
自我と喜怒哀楽を表現する様は、
繊細で可憐な白鳥が語りかけているようです。

「アラベスクから、アティテュード!そう、もっとゆっくり!」
「シャッセですよ。もっと横に!」
ロシアで復興して全盛期を迎えたバレエも、元はフランス、
用語は全てフランス語です。
ロシア人の先生は、英語とロシア語、フランス語の用語を
混ぜながら、団員は、ロシア人も中国人もいます。
私は、簡単な言葉ならロシア語でもわかりますが、
難しい相談は、英語で話してくれるのでありがたい。
そうだった、スコッティッシュ・バレエで
振り付けをしていた人だったから。

言葉の無いバレエの稽古に、
様々な国の言葉が飛び交うのは面白い。
しかし、皆、無言の共通言語を持っているので、
通じない事があっても何の問題も無い。
稽古に集中し、何度も繰り返し、
背中に金色の汗がほとばしります。


オペラの稽古は、対照的。
原語にこだわり、言葉で意味を伝えていく。
声を出す事が表現手段、稽古場は、
歌っている時以外でも少々やかましい。
ま、これも面白しものですが、
いろいろな世界の真ん中に立つと、
それぞれの違いを発見するものです。

私も勉強 勉強!
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