長いって!2006/02/19 23:25

「電車女」のタイトルで、ブログを書いた気がして
探してみたら、8月9日でした。
ここには、私が見た化粧上手な電車女を先頭に、
大した貴婦人が登場していますが、
こんな事では最近は驚かなくなりまして、
多少メイクしようと、何てことはありません。

そうそう、余談で少し前の話ですが、
私の知り合いのオペラ歌手に、
電車(グリーン車)に1時間揺られて、
都心の稽古場に通われていた方が居まして、
その方、情が体に降りてこないと、歌が歌えない・・
いや、芝居できないタイプで、その電車の中で、
役に合わせたメイクするのです・・・。稽古ですよ。

娘の役の時には、少し明るめのチークいれたり、
髪結んだりするのでしょう、ほのぼのしています。
ノーブルな御夫人の時には、髪はアップで、
キリッとしたアイシャドウで目元もキメて、
脂粉の香りすら漂う落ち着いた貴婦人然です。
しかし、どうでしょう。狂女のときは・・・
髪はダラーンと垂らして、顔はベースも白く白く、
全体に血色悪く、目元は隈取りのように青がはいり、
物の怪が取り付いたように肩を落としながら、
稽古場に登場です。
すでになにかが取り付いていますので、
挨拶も、
「お、お、おはよう、、ございま、、っす」
と、精一杯で、稽古開始です。
電車の中でこれに変身してくるのですから、
周りの人はどう思うのでしょう。
しかも稽古場は駅前ではないのです。
街中も歩きます・・
メイク中、見たい!観察したい!
そっと、2つ後のボックスシートから、メモとりたい。

そんな事書こうと思ったわけでなく、
最近驚いた「電車女」Movie編。

最近、家から電車の乗って各停電車での話。
この方、私の隣に座るや否や、メーク開始。
まぁ、除光液使ったらブッ飛ばそうと、心に決め、
「おう!上手くやっているジャン」と思いながら、
慣れた手つきで、およそ各駅5つ停車でメーク終了。
「出すぞ~ ほら、携帯!だろ、鏡代わりのカメラだよ!」
と、予想的中で喜んだり、つまんなかったり。
するといきなり、
私の目の前に右手を振って携帯を差し出す・・
「と、撮りましょうか・・・?」と、言おうと思った瞬間、
その彼女、
正面向いたまま、右手のカメラを右から左へ移動。
「なんだっ!おい、、、祝詞を挙げるのかよ!」
「かしこみ かしこみ・・・か?!」
「えっ???自分撮り動画かよ、、、」

満足そうに動画再生して自分の左右45度を確認していた。

世の中変わった。
と、この日も思った。

もしかしたら、三面鏡は要らなくなるのかも知れない。
というか、鏡は全部液晶になるのかも。
今の携帯の自分撮りは、
鏡の様に反転して映るのが普通。
これは多分逆に見せると、いつもと違う自分にビックリして
何度もメークをやり直す人がいる為・・・ 失礼。
(あながちウソではないかも!)

ここが本日の論点である。(ずいぶん遠回りした・・・)

電化品量販店で、自分の歩く姿が勝手にテレビに映る
ビデオ、テレビ売り場があるのだが、
この映像に満足する人はきっと、いや絶対居ない。
固定ビデオのレンズと写っているテレビの位置が違う為、
斜めから撮られる自分がシャクで、
なんとか正面から見たいのだが、
どんな事してもちょいとオデブな自分から逃げられなく、
さっ!と、
レンズから画面に顔を振って見る人まで居る始末。

なぜ、満足しないのだろう?
これは、鏡に慣れているからなんだな。

鏡は正直ですが、少し親切。
カメラの様に意地悪をせず、
ちゃんと奥行きも出してくれます。
この遠近感が非常に大事。
姿見では自分以外はボンヤリして、
ちゃんとヒロインのお出掛けにしてくれ、
三面鏡では、遠くの100体の自分が、
理想の笑みを投げ掛けてくれます。

でも、ビデオはだめ。
遠近感はないし、逆じゃないし、ちょっとデブだし。
可笑しなものです。
車のバックミラーの代わりに、最近はバックカメラ。
これ、便利で首痛くないし、いいやね。 でも、
サイドミラーがカメラと液晶だと、まずいのかな。
だったら、フロントガラス全面液晶にしてしまえば、
後部座席でふんぞり返って運転しても、
画面が正直なら問題ないのかな。

携帯の自分撮りが、鏡の様に逆ではなくて、
カメラになったとき、家庭の中から
鏡が減って行くときなのでしょう。
カメラに写る自分が普通に見えるとしたら、
みな正直な自分になっているのか、諦めているのか。

そんな事を、延々と楽屋で「鏡」を見つめながら、
オペラが始まる前に考えて、いざ出陣。
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