もちあげ、もみ、へりくだり。2006/02/20 23:59

疲れた。
何に疲れたかというと、申請書類である。
世の中にはありがたい助成システムがあり、
正当で真っ当な事には協賛してくれるのであるが、
これが、大変。

その事業が、いかに公共性があり、他に例を見ず、
しかも文化芸術振興に寄与しながら、
他者との交流の意味合いも深く、
先駆的な催しでありながら、
古典的な質の高さを維持しており、
広く理解を得られながら、価値感を共有し、
喜びと達成感は無類のモノであり、
先人の技を踏襲した高い技術は、
現代に於ける新しい分野を切り開き、
独自の創造性によって、斬新な作品を創り上げる。

という事を並べ立てなければならないのだよ。

例えばなんの変哲もない、A子さん。
彼女は、一番前の席でいつも先生の話を
背筋をピンと伸ばして聞いていて、
休み時間は、ハンカチを畳み直して、
机の右角のふでばこの下に敷きなおし、
先生が来る直前にくるぶしまで下がった、
ソックスを直すのが唯一の癖。
・・・みたいな静かな子に対して、

『見た目では判断できない潜在能力の高さに着眼して、
初めて彼女の素晴らしさに、胸が高鳴るものであり、
ただのお下げ髪と思われていた1本1本の御髪にも、
髪が宿っているのではと思われるほどの、
力を感じるものである。
よく見ると、少し深爪してしまった小指の
先からはオーラにも似たエネルギーを感じ、
人差し指の血豆とのコントラストが、大胆にして繊細な、
彼女の自信みなぎる、寸分の狂いもない行動を
まさに象徴するようだ。』

と、まぁ、こんな風に空いている欄を埋めていかないと、
書類にならないのだよ。
いや、ウソ書く申請ではないのだが、
書けば書くほど、小さな長所をまるで、
100の角度から眺めたように書いているようで、
喉の上の方が幾分痒くなってくるのである。

しかし協賛してくれる企業を探すために、
こればかりは長所見付けと手前味噌で、書き上げ、
終わるとグッタリするのである。


今やっているビッグプロジェクトの協賛金を
どうしてももらわなくてはならず、
企業の方々に、協賛しやすく、免税の優遇があるように、
その段取りの為なんですが、
いくつかの大きな企画で、昨年の秋から、
申請書類を書きとおしである。
同じように書けばいいものだが、
こればかりは国際規格でもなければ、
同じ審査委員ではないので、厄介なのですね。
予算決算なんて、やって見なけりゃ解らない数字も
あるのでしょうが、なんとか書かないとねぇ。
いや、ウソは書いていないのですよ。

兎に角投函しました、だしました。
これ以上どうしようもないほど、添付資料もまとめて、
もう指紋も手相もないくらい、揉みながら、
書いたので、なんとかなるでしょう。
ならなきゃ、困るのだよ!
頼みます!!

さて、写真は、1947年に長門美保さんが、
尽力して、なんとか日本人で初のオペラ「ミカド」を
上演しようとしたときのプログラム。
しかし、当局によって公演は中止に追い込まれ、
このプログラムも幻となったもの。
わたし、偶然ヤフーオークションで見つけた貴重なもの。
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