零下の毎日2018/01/29 22:32

とにかく皆さん挨拶は「寒いですね〜」

話のきっかけがなかったり、
そう仲の良い人でなくても、
寒さの話から入ると和んで行くのですね。
なんでしょう、
皆が平等に受けている冬の仕打ち、
被害者意識がいい塩梅なのでしょうね。

でもまぁ、マイナス5度は気持ちが良い。
ベルリン時代に何度も氷点下20度などの夜を
ウロウロしていたことを思うと、
湿気も失せた夜の冷たさは、
ベトっとした愛想笑いの季節より
数段清々しいものです。

新しい本を買うのが趣味みたいな
活字と資料病でもありますが、
何度も取り出す本もあります。

特に詩集の類は、
小脇に抱えて毎日読むのには気味が悪く、
しかしながら
思い出したように引っ張り出すと、
その時々の心情に訴えかけます。

この本、イギリスの詩人バイロンも
数ヶ月に一度読み返します。
ジョージ・ゴードン・バイロンは
36年間の凝縮というのがふさわしい人生。
<マンフレッド>はシューマンや
チャイコフスキーの曲でおおなじみですが、
この方の原作です。

貴族出身でありながら、
自分を笑い飛ばし正義を貫く。
冒険心を追っていくと
実在したとは思えぬほどの逸話ばかりで、
綴っている単語のひとつひとつが
生命力を帯びているのですね。

いや、こういう人は
やはり2月に読むのが相応しい。
鬱蒼とした空も晴れゆくものです。

「永遠の巡礼詩人バイロン」
楠本晢夫
三省堂
1991年7月1日発刊
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