友情の書簡2015/10/07 16:34

この本は偶然見つけたのですが、
貴重な本だという事も分かり大切に読んでいます。

クララ・シューマン
ヨハネス・ブラームス
「友情の書簡」
原田光子著

という本なのですが、
想像のつく方も居られると思いますが、
クララとブラームスの間で交わされた
膨大な手紙の中から207通を選び
往復書簡の形で翻訳されて記載されています。

作曲家の横顔などを紹介する本、
所謂伝記本の類は沢山あります。
しかし作品に携わる私たちが知りたいのは、
その時代の背景や作曲家自身の心境、
また作曲中の作品に対する思いれなどです。
何か解釈のヒントになるものがないかと、
その年代や時代を徘徊するように、
また作曲家の周りをつけまわす
まるでストーカーのように、
遠い国から「目を皿」で探しています。

そんな事をしても大抵は無駄な時間か、
脳内が膨大な妄想怪獣になって、
現実の指揮からは遠く離れるものですが、
やめられません・・・。残念。

この「友情の書籍」では、
14歳年上のクララとの往復書簡が中心ですが、
若干20歳のまだ無名の青年ブラームスが
シューマン家を訪ねる1853年から、
クララではなくロベルト・シューマンに
宛てた手紙から始まります。

最後はクララが亡くなる1896年5月の
2週間前に病身の床の中で書いたであろう
手紙にブラームスが応えて終わります。

読み進めると当初のクララの
ブラームスへの心境の変化や、
43年間にブラームスが音楽家として
素晴らしい活動を行いながらも、
沢山の苦悩や喜びをクララに綴っています。
音楽家と人間の交流の全てが書いてあり、
友情というオブラートに包まれた
本質を見て取ることにもなるのです。

私が偶然に古書店(正確には中古レコード屋)で
出会った本ですが、
この名著は長いこと絶版であり、
手に入れることさえ難しかったそうです。
しかし今は復刻され単行本として
アマゾンからでも購入可能になりました。

人に手紙を見られるなど
誰でも後年考えもしないでしょうが、
偉人の歴史はこうして紐解かれる事も多く、
貴重な資料となるのですね。

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