ホッとして。2014/06/22 23:34

週末のバレエの本番が終わりました。
来てくださった方々に感謝いたします

大掛かりな舞台美術は舞台芸術の華でもあり、
視覚的に楽しむための環境作りとしては
分かりやすい立体背景でもあります。

しかしながら文芸でもそうであるように
物語が立体的に動き出す演劇や映画、
またテレビドラマのような場合においては、
造り込んで提供すればするほど、
聴衆というものは想像をしなくなるのです。

シェークスピア時代には天日の下でしか
演ずることが出来なかったので、
多少ト書きによる説明があったとて、
朝も夜も想像をして観劇をしたものです。
分かりやすく言えば落語が究極の演劇であり、
扇子と手拭いという持ち道具だけで
噺によるドラマを創り聞くものを夢中にさせ、
時に人情話に涙を誘うものでもあります。

小説では改行されていく行間に
沢山の心理が詰まっているように、
想像をする贅沢と言うものを失なってしまうと、
舞台美術は不経済で粗悪な視覚的お節介に
成り下がってしまうのでもあります。

今回は何も置かない舞台に照明のみの効果。
この空間にオーケストラが音で入ります。
鍛錬されたダンス表現に音楽が添い、
耳の悦楽にて視覚的にも奥行きを出ることは
その場でしか感じることの出来ない
生の人間の創成のぶつかり合いです。
邪魔でなく陰でもなく共同する愉しさは
ダンスと音楽の贅沢な生き様と感じます。

大きなプレッシャーもありますが、
毎回同じことが出来ない舞台だけに、
拍子毎に感じる変化や刺激は、
血圧が上がったり下がったりしながら
脳が高揚して笑い出している気分です。
舞台はトータルで評価されるのでしょうが、
作り込む質量の重さはイリジウム並みで
輝き硬度はダイヤモンドに同じと思います。

3作品共面白かったのですが、
ヴァイオリンコンチェルトで踊るという面白さは、
演奏中にソリストの技術的な賞賛とは別の箇所で
ダンサーに向けて拍手が起こるという
イレギュラーなエンタメ性に感じ入りました。
とはいえソロばかりでなくコンマスまで務め
演奏をしてくださった浅井女史、
またオケの皆さんに深く感謝の次第です。

もちろん機会をくださったバレエ団、
芸術監督、関係者の皆さんに深く感謝しています。

楽しいんだ、ダンスと音楽 。
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