ダーバン2009/01/16 23:07

オペラ歌手と言うのは、日本人であっても、
多言語に通じて居ないと困るものなのです。
得意な原語が無くても、また日常会話が出来なくても、
どの原語にも、基本的な文法や発音は理解せねばならず、
ましてや、意味が解らないと心は通じないのである。
オペラ作品には、実に多様な言語があり、
イタリア語、ドイツ語を始めとして、
世界で最も公演されている指の中のカルメンは、
フランス語なのだから、何語でもありなのです。
英語がオペラの歌唱には敵さないったって、
創る人書くし、勿論たくさん英語オペラも多数存在する。
その他にも、比較的上演されるのが、
チャイコフスキーを上演すればロシア語だし、
スメタナなんて国粋的な作曲家、
例えば「売られた花嫁」上演ならばチェコ語です。
それに、スペイン語などもありますね。

いやはや凄いですな。
日本、英語、伊語、独語、仏語、露語、チェコ語・・
皆さんこう聞くと、「凄い!」と思うか、
「得意原語専門の歌手がいるんでしょ!」と思うわけです。
確かに、これら原語を全部操ったらお化けでしょうし、
日本人でチャイコフスキーのオペラを得意としている、
なんて希少な方は、他の言語は逆にやらないかも。
キャスティングする方が、この辺は得意な原語、
また上演経験から選ぶので、トンでもないことはない。
ただ、例外は合唱です。
劇場の合唱団、彼らは演目関係なく歌いますから、
当然劇場で上演する原語は全て網羅せねばならない。
出て来る部分が決して多くなくても、
やはり言葉は言葉、大変なのです。

指揮者・・・ これも譜面にはいろいろありますし、
歌詞が書いてあれば、当然理解が必要。
イタリア語、ドイツ語、英語、勿論日本語はOKでしょうが、
それ以外は厄介なものです。
私、フランス語アレルギーのようです。
昔から、何故か読めない(発音できない)。
きっと適当な想像で読んでいたのが災いして、
何度見ても、発音できないものばかり。
直したいのですが、登場頻度が少なく、毎回同じ。
意味が解っているのに発音できないと、
リハーサルで大変困るものなのです。
・・・で、今フランス語と格闘。
たかだか楽語の延長で、意味を理解していても、
発音ができないのは悔しいものです。
でも、必要に迫られてまた今回も1から復習。

昔、ダーバン(紳士服ブランド)のCMの最期に、
アラン・ドロンが実に渋い素敵な声で、
「ダーバン!セデ○○・・・」というのが有名でした。
私は子供ながら、このマネで周りから絶賛され、
発音、雰囲気どれも日本一のマネと自負してました。
それから十数年、ドイツに住んでいる時に、
フランス人と食事した際(会話は英語、ドイツ語)、
突如思い出して、忘れもしないあの一節を唸った。
自慢げに2回言いました。
2回目は至極丁寧にゆっくり、はっきりと。
しかし、・・・1言も通じなかったのです。
とてもショックでした。
それ以来アレルギーなんだと思っております。

確実2009/01/17 23:27

毎年恒例のM大オケTrb現役+OBによる、
吹き初め&新年会でした。
現役オケは200人を超す大所帯になりましたが、
昨日今日の活動でこうなったのではなく、
長年の積み重ねの賜物なのです。
年長者であるOBに敬意を表し、
OBも現役の若々しいエネルギーにパワーを貰う、
年代を超えた交流会と言うわけです。
久し振りの再会があり、結婚、出産の報告もあり、
会社の毎日の愚痴、社会人の厳しさの話、
卒業の話と、これからの話・・・。
辛い心情を吐露したり、喜ばしい報告だったり、
原状の立場がそれぞれ違い、年代も違っても、
音楽を愛し、楽器を愛している彼らの、
見ている方向にそう違いは無い気もいたします。

私は、夜の新年会しか行かれませんでしたが、
左手の楽器をグラスに持ち替えて、
ジャブジャブとビールを飲みながら、
吹き出るものは、音からアルコールの汗へと変わる。
いやはや、楽しいものです。
しかし、さらに地元に戻って、
3月の演奏会の深夜の宣伝を2店舗・・・。
こんな地道な広告活動が大事なのですよね。

写真、全然関係ありませんし、
これ見た瞬間なんだか解る方は相当のマニアです。
これ、有名メーカー「ホーザン」製のペダルレンチ。
自転車のペダルを着脱するための専用工具。
大したものではないのですが、
今の今まで、数十年、適当なもので代用していた。
でも、専門ってのは大した威力なのです。
今まで、騙しながら回していたのが、
最小の力で、大きな仕事を確実にやってくれる。
傷もつかなければ、間違えもなく、不安も皆無。
どうして、もっと早く買わなかったのでしょう。
代用で良いとおもっていたその価値観に反省です。
専門と言うのは、それなりの計算と苦労、
そして確実な仕事は気持ちのよう爽快感さえある。
知らない人も居ますが、自転車の機能で、
左のペダルだけ、逆ネジなのです。
つまり左に回すと締まり、右で緩む。
数千、数万と両足で均等に踏み込むので、
決して外れる事のないよう、安全の為の世界基準。
こんな事ですが、安心、確実、大事なものです。

牝鹿2009/01/20 18:32

来月のバレエ公演の宣伝です。
大きな公演を振らせて頂いている、
NBAバレエ団の2月公演です。

メインの演目は、なんと言ってもこれ。
プーランク作曲の<牝鹿>バレエ全曲版は、
日本初演になるようです。
バレエも日本では初演らしいので、
当然音楽も初なのです。
この時代、俗にいう「ロシアバレエ団」の全盛ですが、
時代の先駆者達が、作品とアイデアも持ち寄り、
舞台創造に挑んだ時代です。
1909年から1929年の20年間に参加した創作者は、
ストラビンスキー、ラベル、ドビッシー、
R.シュトラウスからプロコフィエフ・・・。
また、ピカソ、マリー・ローランサン、
ジャン・コクトーにココ・シャネル・・・と、
幾ら列記しても切りがないのです。
勿論この真ん中には、ディアギレフという、
代表にして名プロデューサーが立っているのですが、
完全にそれまでのバレエの歴史を変えてしまいました。

すでに現代音楽とは呼べないですが、
ストラビンスキーのバレエ3部作などは、
この時代に要請があり創られたのですが、
現在では色彩豊な近代オーケストラの重要演目です。
他の芸術家達も如何に現代に通じているかは、
文学、美術、ファッションを見ても解るとおり、
ものすごい20年でありました。

昨年の2月も「バレエ・リュス」公演でしたが、
今回はその第2弾と言うわけです。
厄介なレンタルのオケ譜面もようやく手に入り、
これから急ピッチで、全ての準備です。
もうすぐリハーサルが始まりますので、
どのように味付けが行なわれるのか、
音楽と舞踊のコラボレーションであるバレエ。
大変興味深いのです。

チケットお求めの方は、私まで御相談ください。
いい事、あるのかもしれません(無責任・・・)。
詳細は、NBAバレエ団HPを御覧ください。
http://www.nbaballet.org/

新調2009/01/24 23:01

パソコンを買い替えました。
こいつ、とても速いです!

数年前までは、
システムや機能が新しくなるたびに、必要に迫られ、
デスクトップとノートを互い違いに、
毎年1回ずつ買い換えていたのです。
しかし、機能はとりあえず行き着いた感もあり、
4年間買い換える必要もなかった。
しかしさすがに、昨今のデータ量と速さに追いていけず、
ましてや、4年間の様々なデータ、ソフトの蓄積で、
私のパソコン君はアップアップでした。
毎日イライラしながら使うのもなんなので、
心機一転、買い替えです。

しかし安くなりました。
私が買ったのは、多分今の最速機種、
つまり、ゲーマー諸氏、
CGや3Dアニメーションなどで、処理能力を、
求める方々がストレスなく使用できるほどの機種。
4年前、こんな機種求めていたら(無いですが)、
数百万積んでも無理でしたし、
もしそんなモノ所持しているのがバレれば、
クーデターでも起こそうとしていると思われ、
国家○○局の方々が家庭訪問にいらしたことでしょう。
しかし、今や10万円台にまで下がっていま。
人間の頭脳と欲は、たいしたものだと思います。

4年前の機種、最近さすがにノロノロで、
ワープロに写真貼り付けるだけなのに考え込む。
DVD何ぞ見ている時にも、
最高のシーンで、ジッと身動きしなかったり・・・。
しかし、4年間休まず、毎日毎日、
私の頭脳も煩悩も処理してくださった執事であり、
またメイドでもある勤労者に怒るわけにもいかず、
勇退を勧めた次第です。
設定して数時間、あまりの処理の早さに感激、
この文章の変換に至るまで速い感じです。
このまま、私が考える前に打ち込んでくれりゃ、
どんなに楽だろうか・・・。
先読み変換も学習により可能なのですから、
次買い換える数年後には、
文章の癖から判断して、どんどん先に打つ、
有能な秘書級の機種になるに違いありません。
守秘義務も了解しているし、給料も要らない。
モノ食べない、寝ないし我侭も文句も言わない!

たいした奴だよ、こいつら・・・、
違う・・・、、、お世話になります m(_ _)m

長寿祈願2009/01/26 22:29

このところ、2月3月の仕事仕込みばかりで、
毎日座って譜面と文字を行ったり来たり。

仕込みとは、すなわち準備ですが、
形式的なコンサートならば、
単に譜面を見たりするだけですが、
請け負う仕事は、構成や進行といった、
お客様に接する部分も多く、
提供するコンテンツを発想するところから始まる、
いわばプロデュースも多いものです。

それとは別に、
指揮を頼まれているの仕事でも、
さらに広い分野の準備が必要な場合も多い。
舞台芸術などほとんどそうですが、
ドラマ性が強ければ強いほど、音楽の準備と平行して、
戯曲の原点や、ドラマの側面を追わなくてはならない。
たとえば、歴史であったり政治もそう。
地方性が強ければ、地方独自に抱えた問題や、
風土によっても、ドラマは変わります。
そのときの季節はさることながら、
気温、湿度、風速が違えば、
登場する人物の状態も変わるもの。
つまり、ポカポカ陽気の暢気な午後か、
極寒の地で吹雪かれている宵か、
はたまた、東南アジアの雨季で、
湿度90%、気温33度の中引越しなんて作業なら、
モノひとつ動かしただけでイライラして絶叫です。
こんな事が分からない音楽の音の中から、
環境、つまりドラマティック・シチュエーションを
見出していくと、演奏に要求する音、
私の見出す、好ましいテンポや音量も、
全て変わってくるというものです。

3月の公演、ドラマを紐解くと、大変面白い。
昔違う形で上演したものを焼きなおして演奏しますが、
ドラマの中の謎を解き、結ばれた糸を解けば、
登場人物の性格や、同士の関係が、よく分かる。
音楽の創造、いやこれは妄想も含めて、
大いに広がる楽しい作業なのです。

大きなお花を頂きました。
懇意にさせて頂いている尊敬する先生から。
こういう花を頂くと、「決して枯らせまい」と、
先天的育てたがり、手入れ好きの心が燃えます。
立派なお花、下から見上げられるよう、
階段上の踊り場に置かせて頂きました。
ありがとうございます。

親類縁者2009/01/28 23:41

用事があり、連日神保町を訪れる。
この界隈は、神田川の周りの所謂下町。
古書店に食堂と、学生街の典型、
魅力溢れる町並みです。
御茶ノ水から神保町駅付近は、
教えている某所の関係もありよく知りますが、
今日はその少し西。
住所では西神田から三崎町の辺り。

人も車も行き交う大通りは、様相が変わり、
区画整理も行き届いていますが、
この辺りの裏路地は、今もなお昭和。
子供の頃見慣れた下町の風情があり、
長屋のように、びっしり並んだ木造家屋、
モルタルで精一杯装った飲食店、
歩く速さが自然と落ちます。

用事で訪ねた先生のいらっしゃる場所も、
区の景観まちづくり重要物件になっているビル。
そんな話は伺っていましたが、
行き着いてみると、堂々とした鉄筋作りの4階建て。
ビルの入り口からして、
モダンなアーチに飾り窓も掛かり、
戦後まもなくの建築物であろう。
アジア文化の架け橋を担う歴史ある財団、
アーチに掛かる看板も〈右横書き〉の歴史の深さ。
中は、古いながらも天井高の立派な造り。
その建物の一室に研究室を構える先生が、
場所と建物と空間にあまりに似合っていて、
何度もお会いしている方なのに、
一見客の様な、所在無き思いの私。

さて、神保町駅から西側の界隈を歩く。
勝手にルールを決めたゲームのように、
大通りに出ないで、路地を繋いで歩く。
碁盤の目を階段のように歩き回ると、
面白い店、歴史にも出会うものである。
印刷業、出版業を営んでいたと思わしき、
木造の古い建築物も多いのですが、
シャッターが降りて久しい様子がちと物悲しい。
これも歴史か、と思いながら、
神田川まで歩き近代的地下鉄に乗車。

小さな個人商店は面白く、
店先の商品を覗けば、親父さんはすぐ登場。
歩きながら覗く店々の親父さん連中、
親戚か、チェーン店のマニュアルなかと思う程の、
確信した江戸訛りで、親しげに話しかける。
商品の自慢調子が面白く、つい気が乗せられる。
アイデア満載の皮加工商店では、
ちょいと素敵なブックカバーが、箱棚に満載。
上品な型押し模様でしっかりしていて、900円。
笑いながら騙されて、電車の中で使い始めると、
中に入れた500円の「漢字で恥をかかない本」も、
学術書に見えてくるものです・・。
やっぱりこの風情は肌に合います。

邦楽百番2009/01/29 17:05

12月に録音した現代邦楽の放送(FM)があります。
なかなか手強かった当日ですが、
うまく耳に届くといいなと、期待します。
生演奏でも録音でも、
何度聞いても飽きないような、
CDクオリティ(音楽内容が)を目指して、
常に演奏を心がけます。が、しかし、
録音はその場ですぐプレイバックされるので、
着替えて逃げるように帰ってしまえる
演奏会の多少の無責任さとは違うもの・・・。

NHK-FMは、調べると、
様々な古典芸能を扱っているのです。
長唄、箏曲、地唄に尺八、
謡曲、狂言、琵琶、小唄、端唄、吟詠・・・。
すごいものです。
洋楽と邦楽などという、大雑把な分別は、
申し訳ないほどの充実振りです。
高々150年足らずの洋楽の歴史とは、
比べられない日本文化の素晴らしさでしょう。
しかも、これらは耳でも楽しめる範囲だけ。
映像が入ると、その楽しさは数倍になり、
能、狂言、歌舞伎、日舞と、いやはや限り無し。

番組表を見ると、私たちの他にもいくつか。
いずれも関係者ばかりですので、
興味深いプログラムです。
この日は、≪現代邦楽≫というジャンルの日、
私達は、オーラJで出演です。
過去に2度演奏しているD.R.ウォマック氏の曲、
「ウォーク・アクロス・ザ・サーフィス・オブ・ザ・サン」。
モダンなタイトルですが、邦楽器による演奏です。

邦楽百番 ~現代邦楽~
1月31日(土)午前11:00~11:50 (50分)
詳しいプログラムは、下記NHKのHPへどうぞ
http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2009-01-31&ch=07&eid=01439
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