親類縁者2009/01/28 23:41

用事があり、連日神保町を訪れる。
この界隈は、神田川の周りの所謂下町。
古書店に食堂と、学生街の典型、
魅力溢れる町並みです。
御茶ノ水から神保町駅付近は、
教えている某所の関係もありよく知りますが、
今日はその少し西。
住所では西神田から三崎町の辺り。

人も車も行き交う大通りは、様相が変わり、
区画整理も行き届いていますが、
この辺りの裏路地は、今もなお昭和。
子供の頃見慣れた下町の風情があり、
長屋のように、びっしり並んだ木造家屋、
モルタルで精一杯装った飲食店、
歩く速さが自然と落ちます。

用事で訪ねた先生のいらっしゃる場所も、
区の景観まちづくり重要物件になっているビル。
そんな話は伺っていましたが、
行き着いてみると、堂々とした鉄筋作りの4階建て。
ビルの入り口からして、
モダンなアーチに飾り窓も掛かり、
戦後まもなくの建築物であろう。
アジア文化の架け橋を担う歴史ある財団、
アーチに掛かる看板も〈右横書き〉の歴史の深さ。
中は、古いながらも天井高の立派な造り。
その建物の一室に研究室を構える先生が、
場所と建物と空間にあまりに似合っていて、
何度もお会いしている方なのに、
一見客の様な、所在無き思いの私。

さて、神保町駅から西側の界隈を歩く。
勝手にルールを決めたゲームのように、
大通りに出ないで、路地を繋いで歩く。
碁盤の目を階段のように歩き回ると、
面白い店、歴史にも出会うものである。
印刷業、出版業を営んでいたと思わしき、
木造の古い建築物も多いのですが、
シャッターが降りて久しい様子がちと物悲しい。
これも歴史か、と思いながら、
神田川まで歩き近代的地下鉄に乗車。

小さな個人商店は面白く、
店先の商品を覗けば、親父さんはすぐ登場。
歩きながら覗く店々の親父さん連中、
親戚か、チェーン店のマニュアルなかと思う程の、
確信した江戸訛りで、親しげに話しかける。
商品の自慢調子が面白く、つい気が乗せられる。
アイデア満載の皮加工商店では、
ちょいと素敵なブックカバーが、箱棚に満載。
上品な型押し模様でしっかりしていて、900円。
笑いながら騙されて、電車の中で使い始めると、
中に入れた500円の「漢字で恥をかかない本」も、
学術書に見えてくるものです・・。
やっぱりこの風情は肌に合います。
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