マラ5稽古2015/11/02 23:47

いつも教えている大学オーケストラ。
12月のメインイベント定期演奏会で
名曲でありながらアマチュアにとっては
難曲でもあるG.マーラーの交響曲第5番を
演奏予定で準備しています。

私が公演を指揮するのではありませんが、
“下振り”と言われる本指揮者の来られない時に
オーケストラに下稽古をする係の日でした。

私が公演で振るならば自分の思考で好きに考え
その演奏に皆さんを導きながら、
考えをひとつにまとめれば良いのですが、
下振りはそうはいきません。
自分が振っていながら影武者でもあり、
トレーナーとしての役目が優先です。

大きなオペラプロジェクトになると、
副指揮と言われる役目の指揮者が数人いますが、
この方々も基本的には下振りであり、
本指揮者をサポートしながら進みます。
しかしオペラの場合にはソリスト、合唱、
そしてオーケストラの絡みがあるので、
諸所の連絡や音楽の統一性を持たす事も大切で、
それぞれの持ち場を持った副指揮は、
とても重要な役目を発揮します。
つまり音楽スタッフの要でもあるわけです。

オーケストラの場合には下振りという
言い方で正しいと思うのは、
ソロも合唱も演出もなく、惑わされずに
オーケストラの音楽に関してのみ
サポートすればよいからです。
しかしながらただの影武者ではなく、
効果覿面になるようなレッスンをして
理解しやすく教える事が大切。

難曲ですが丁寧に時間をかければ、
かならす音楽(作曲家)との距離も縮まり、
納得のいく公演に行き着くものです。
20年振りとも思えるマーラーの5番ですが、
まだまだ道半ばであり、期待したいです。
そして下振りとはいえ、
この曲の音楽センスを前にすると、
振る事は非常に体力的にも精神的にも、
疲労するものです。
古典の音楽が精神との対峙だとすれば、
20世紀の幕開けであるこれらの音楽は、
哲学と思想を背負い込みながら、
まやかしではモノも言えない
思考の海に溺れそうになる恐ろしい曲です。

頑張って欲しいです。
カウンター