3人娘 ― 2007/08/25 23:05
音楽祭第4日。
私は音楽委員長兼制作部長という、
いわば総務をしていますが、
ささいな心配や苦労も多少はありながらも、
事故無き公演を常に願いながら毎日仕切っています。
そんな私の一番の心配事は、まさしく『雨』なのです。
雨の日は、野外劇場での公演は中止。
すぐ近くの別の400人収容のホールで準備し、
公演は屋内で行う手筈は、最初から整っていました。
何度も言いますが、私は超が付く雨男で、
今までいろいろな催しや仕事で雨に降られています。
ついでに申せば、舞台監督のT氏も雨男で、
以前2人で仕事した大事な本番では、
そのホール中心に半径10キロのみ大雪でした。
そのこととは直接関係ないのですが、
企画の段階から、音楽祭4回の野外公演は、
2勝2敗でも仕方ないと、
天気の采配は神に委ねていたわけです。
今日は2つの公演。
長坂会場では、朝から夜まで邦楽の音が響き渡ります。
この音楽祭は、全国から集まってくる、
現代邦楽合奏団のコンベンションも兼ねており、
今日、明日には、各合奏団が競演する対流演奏会、
合同で練習した曲を演奏する交流演奏会があります。
これらは、ホスト団体のオーラJが仕切り、
約80名の参加者が演奏講習を受けたり、
公演の準備をしたりと、切磋琢磨する3日間です。
さて、野外劇場の公演では、
今日はひとつの目玉でもある『中国音楽の夕べ』、
3人の名手がそれぞれの専門楽器の腕を存分に発揮、
ソロにアンサンブル、で競い合うのです。
そして最後には洋楽器、雅楽も参加した、
朗読つきの新曲披露もある盛りだくさん。
クラシック音楽を中心とした音楽祭でありますが、
東西のアーチストが一同に介する公演なので、
普段聴く機会の少ない曲なども多く、
珍しい楽器や音楽に出会う毎日でもあります。
チェン・ミンは美しい容姿に二胡の音が伴うと、
天女が舞い降りたかのような立ち姿になり、
すでにスターの風格をも感じさせます。
また、フェイさんの姿、笑顔は愛らしく、
元来持ち合わせている優しい性格に、
長い間日本で演奏活動をしてきた経験も加わり、
アイドル的な存在で皆から愛されます。
そして音楽祭海外担当音楽監督でもあるヤン・ジンは、
中国琵琶の名手として世界で活躍する技術を
存分に発揮しながら、実力者として君臨します。
この公演の公演監督も努める彼女は、
聴衆に最高の一夜をプレゼントしてくれました。
最後カーテンコールでは、「見上げてごらん夜の星を」。
舞台上、ゆっくりゆらめく赤松の上空には、
美しく素晴らしい月が昇り、
中国3人娘の演奏にみな目が潤みました。
この公演の入場者は、約1000名。
もし雨が降っていたらどうしたのだろう・・・と、
反省や課題も残しながら、
そろそろ雨男は返上しようかと思うのでした。
私は音楽委員長兼制作部長という、
いわば総務をしていますが、
ささいな心配や苦労も多少はありながらも、
事故無き公演を常に願いながら毎日仕切っています。
そんな私の一番の心配事は、まさしく『雨』なのです。
雨の日は、野外劇場での公演は中止。
すぐ近くの別の400人収容のホールで準備し、
公演は屋内で行う手筈は、最初から整っていました。
何度も言いますが、私は超が付く雨男で、
今までいろいろな催しや仕事で雨に降られています。
ついでに申せば、舞台監督のT氏も雨男で、
以前2人で仕事した大事な本番では、
そのホール中心に半径10キロのみ大雪でした。
そのこととは直接関係ないのですが、
企画の段階から、音楽祭4回の野外公演は、
2勝2敗でも仕方ないと、
天気の采配は神に委ねていたわけです。
今日は2つの公演。
長坂会場では、朝から夜まで邦楽の音が響き渡ります。
この音楽祭は、全国から集まってくる、
現代邦楽合奏団のコンベンションも兼ねており、
今日、明日には、各合奏団が競演する対流演奏会、
合同で練習した曲を演奏する交流演奏会があります。
これらは、ホスト団体のオーラJが仕切り、
約80名の参加者が演奏講習を受けたり、
公演の準備をしたりと、切磋琢磨する3日間です。
さて、野外劇場の公演では、
今日はひとつの目玉でもある『中国音楽の夕べ』、
3人の名手がそれぞれの専門楽器の腕を存分に発揮、
ソロにアンサンブル、で競い合うのです。
そして最後には洋楽器、雅楽も参加した、
朗読つきの新曲披露もある盛りだくさん。
クラシック音楽を中心とした音楽祭でありますが、
東西のアーチストが一同に介する公演なので、
普段聴く機会の少ない曲なども多く、
珍しい楽器や音楽に出会う毎日でもあります。
チェン・ミンは美しい容姿に二胡の音が伴うと、
天女が舞い降りたかのような立ち姿になり、
すでにスターの風格をも感じさせます。
また、フェイさんの姿、笑顔は愛らしく、
元来持ち合わせている優しい性格に、
長い間日本で演奏活動をしてきた経験も加わり、
アイドル的な存在で皆から愛されます。
そして音楽祭海外担当音楽監督でもあるヤン・ジンは、
中国琵琶の名手として世界で活躍する技術を
存分に発揮しながら、実力者として君臨します。
この公演の公演監督も努める彼女は、
聴衆に最高の一夜をプレゼントしてくれました。
最後カーテンコールでは、「見上げてごらん夜の星を」。
舞台上、ゆっくりゆらめく赤松の上空には、
美しく素晴らしい月が昇り、
中国3人娘の演奏にみな目が潤みました。
この公演の入場者は、約1000名。
もし雨が降っていたらどうしたのだろう・・・と、
反省や課題も残しながら、
そろそろ雨男は返上しようかと思うのでした。
Z改造計画 ― 2007/08/26 23:06
そして最終日、音楽祭5日目です。
朝9時から隣の隣町の公演の仕込みに出掛けます。
北杜市、実よい大きさのホールが、沢山あります。
1時間余の青少年の為のコンサート企画でしたが、
上手く学校とコンタクトが取れなかったらしく、
結局お客さんは大人が中心と解り、
前日の別リハ時に、急遽予定を変更して、
オトナコンサート仕様に変更したのです。
しかし、これが少し長くて、
スタッフは背中に冷たい汗を感じつつ聴いていました。
パルサストリオの演奏は勿論素晴らしく、
会場の方々も満足納得の1時間余ですね。
今日はコンサートが3つ。
この11時からのコンサート以外にも、
隣町の長坂では、コンベンションの交流コンサート、
そしてその裏では、夜の公演の舞台リハが進行します。
出演者は会場を分けても、スタッフ数は一緒ですから、
結局舞台スタッフがあちこち走り回ります。
しかも今年は打楽器の年ですから、
当然とんでもない打楽器の数があり、そもそも、
これらの調達を仕切るだけでも、大変でした。
3箇所の楽器屋、大学からの持ち込みに加え、
急遽地元小学校から借りたシロフォーン・・・。
公演には、鍵盤打楽器を5つも持ちこみ、
さらに通常の太鼓類、ラテンパーカッション、
これらを数人のスタッフで、がんがん組み立て、
公演終われば、ハイエナの様に楽器に群がって、
そら急げで、ばんばんバラしていきます。
12時20分に終った公演の全楽器をバラしてから、
車4台に乗っけて、高速道路はきっと法定速度を守り、
20キロ離れた野外劇場にとんぼ返りです。
14時開始にあわせ、打楽器8重奏の為の仕込をします。
しかし、スタッフワークは完璧ですね。
13時半過ぎには仕込みも終わり、昼食。
最終日の夜のコンサートは、
名古屋からのジェゴクアンサンブルが、約20名。
それにパルサストリオの3人に加え、
日本のソリスト、中国のソリスト・・
舞台には、延べ30人以上の出演者が順番にでます。
このジェゴクアンサンブルと言うのは、
竹の筒を鍵盤とするバリ島のガムラン音楽の一種。
楽器の数も凄く、一番でかい竹の筒は直径で25cm。
このデカクて低い音のする楽器群を、
打者(奏者とは思えない)は楽器に乗っかって叩くのです!
写真を見ればお分かりの様に、
演奏者は、恍惚とした表情になっています。
連続したリズムと音列は、なんどもなんども繰り返され、
メビウスの輪の様に、抜け道の無い永遠の運動となり、
次第に演奏者、聴く者までが、トランス状態に陥る。
ある合図で、この迷宮から抜け出していくのですが、
演奏中は、舞台が揺れているかと思うほど、
楽器は左右に揺れ、人間は頭を縦に振り出します。
いや、恍惚と言う言葉は、こういう時の為と、
神の宿る島、お祭りと奉納を信条とする、
バリの魂が、小淵沢で再現されました。
尺八の坂田誠山さん、21弦箏の木村玲子さん、
ティンパニーの有賀誠門さん、それにシズカ。
みなさん素晴らしく、明るい満月に照らされた会場は、
5日間の音楽祭の閉めに相応しい、ゲストの競演。
そして最後は、パーカッションの祭典の年らしく、
三木稔の『Zコンヴァージョン』を、8人で演奏。
最後は、この曲の魂でもある、阿波踊りのリズムに乗り、
シズカも演奏に加わり、有賀さんが会場を刺激すれば、
まずは徳島から参加の邦楽合奏団の方々は、
居ても立ってもおられずに、男踊りを披露し始めます。
これが合図で、会場中は阿波のリズムに包まれ、
狂乱の5日間の〆に相応しい全員参加のお祭り状態。
最高の盛り上がりを見せ、拍手拍手の終演です。
私は・・
トランシーバー片手に、次の段取りの指示をしながらも、
手拍子はやまず・・。
身体は、演奏家の性で動いて、今にも演奏したいが、
職務を忘れて舞台に行くことも出来ずに、
最後までサポートサポート・・です。
しかし、誰も病気せずに予定の公演が行なわれ、
沢山の方々に来ていただけたことにホッとして。
トランシーバーを外した瞬間に肩の力が抜けました。
感謝、挨拶、労い、賞賛、そして別れ。
沢山の思い出と共に全員での打ち上げも終わり、
長い長い5日間の音楽祭は終りました。
朝9時から隣の隣町の公演の仕込みに出掛けます。
北杜市、実よい大きさのホールが、沢山あります。
1時間余の青少年の為のコンサート企画でしたが、
上手く学校とコンタクトが取れなかったらしく、
結局お客さんは大人が中心と解り、
前日の別リハ時に、急遽予定を変更して、
オトナコンサート仕様に変更したのです。
しかし、これが少し長くて、
スタッフは背中に冷たい汗を感じつつ聴いていました。
パルサストリオの演奏は勿論素晴らしく、
会場の方々も満足納得の1時間余ですね。
今日はコンサートが3つ。
この11時からのコンサート以外にも、
隣町の長坂では、コンベンションの交流コンサート、
そしてその裏では、夜の公演の舞台リハが進行します。
出演者は会場を分けても、スタッフ数は一緒ですから、
結局舞台スタッフがあちこち走り回ります。
しかも今年は打楽器の年ですから、
当然とんでもない打楽器の数があり、そもそも、
これらの調達を仕切るだけでも、大変でした。
3箇所の楽器屋、大学からの持ち込みに加え、
急遽地元小学校から借りたシロフォーン・・・。
公演には、鍵盤打楽器を5つも持ちこみ、
さらに通常の太鼓類、ラテンパーカッション、
これらを数人のスタッフで、がんがん組み立て、
公演終われば、ハイエナの様に楽器に群がって、
そら急げで、ばんばんバラしていきます。
12時20分に終った公演の全楽器をバラしてから、
車4台に乗っけて、高速道路はきっと法定速度を守り、
20キロ離れた野外劇場にとんぼ返りです。
14時開始にあわせ、打楽器8重奏の為の仕込をします。
しかし、スタッフワークは完璧ですね。
13時半過ぎには仕込みも終わり、昼食。
最終日の夜のコンサートは、
名古屋からのジェゴクアンサンブルが、約20名。
それにパルサストリオの3人に加え、
日本のソリスト、中国のソリスト・・
舞台には、延べ30人以上の出演者が順番にでます。
このジェゴクアンサンブルと言うのは、
竹の筒を鍵盤とするバリ島のガムラン音楽の一種。
楽器の数も凄く、一番でかい竹の筒は直径で25cm。
このデカクて低い音のする楽器群を、
打者(奏者とは思えない)は楽器に乗っかって叩くのです!
写真を見ればお分かりの様に、
演奏者は、恍惚とした表情になっています。
連続したリズムと音列は、なんどもなんども繰り返され、
メビウスの輪の様に、抜け道の無い永遠の運動となり、
次第に演奏者、聴く者までが、トランス状態に陥る。
ある合図で、この迷宮から抜け出していくのですが、
演奏中は、舞台が揺れているかと思うほど、
楽器は左右に揺れ、人間は頭を縦に振り出します。
いや、恍惚と言う言葉は、こういう時の為と、
神の宿る島、お祭りと奉納を信条とする、
バリの魂が、小淵沢で再現されました。
尺八の坂田誠山さん、21弦箏の木村玲子さん、
ティンパニーの有賀誠門さん、それにシズカ。
みなさん素晴らしく、明るい満月に照らされた会場は、
5日間の音楽祭の閉めに相応しい、ゲストの競演。
そして最後は、パーカッションの祭典の年らしく、
三木稔の『Zコンヴァージョン』を、8人で演奏。
最後は、この曲の魂でもある、阿波踊りのリズムに乗り、
シズカも演奏に加わり、有賀さんが会場を刺激すれば、
まずは徳島から参加の邦楽合奏団の方々は、
居ても立ってもおられずに、男踊りを披露し始めます。
これが合図で、会場中は阿波のリズムに包まれ、
狂乱の5日間の〆に相応しい全員参加のお祭り状態。
最高の盛り上がりを見せ、拍手拍手の終演です。
私は・・
トランシーバー片手に、次の段取りの指示をしながらも、
手拍子はやまず・・。
身体は、演奏家の性で動いて、今にも演奏したいが、
職務を忘れて舞台に行くことも出来ずに、
最後までサポートサポート・・です。
しかし、誰も病気せずに予定の公演が行なわれ、
沢山の方々に来ていただけたことにホッとして。
トランシーバーを外した瞬間に肩の力が抜けました。
感謝、挨拶、労い、賞賛、そして別れ。
沢山の思い出と共に全員での打ち上げも終わり、
長い長い5日間の音楽祭は終りました。
月の女神 ― 2007/08/27 23:11
音楽祭は終っても、
仕事はまだまだ終わりません。
終演時間が遅い野外劇場特設ステージなので、
次の日の朝から撤収作業がはじまります。
音楽祭前日の仕込みからほぼ1週間、
お世話になった野外劇場の撤収は、
フィルムのコマを戻すように進んでいきます。
大きな公演のあとに来る虚脱感が多少ありながらも、
みな撤収に汗を流して勤しみます。
劇場に潜む神の話はよくここにも書きますが、
この劇場に宿る神はどんな神なのでしょう?
夜の公演では、午後8時を回るころから、
劇場上空北側に必ず美しい月が現れます。
観客は、柔らかな緑の芝に囲まれて座り、
舞台の上空にしっとり輝く月を楽しみながら、
左右に静かに揺れる赤松を舞台美術になぞらえて、
舞台を楽しみ音楽に耳を傾けます。
きっと冬になれば、さらにキリッとした空気に、
さらに美しい月が顔を出すのでしょう。
そう、ここは月によって護られる劇場かもしれません。
河口湖の美しいすり鉢状の劇場が、
満点の星を臨む“ステラシアター”なら、
ここは、もっと大きな自然の空間、
南アルプスから、八ヶ岳、甲州路を照らす月、
毎日の天候も月に委ね、月が見守る劇場。
勝手に命名しましょう。
月の神になぞらえ、“ルナシアター”
道理で極超雨男の私が居ても降らないはずです。
月に抱かれれば、人間の運などちっぽけなもの、
劇場の運も月に任せ、女神ルナの采配に全てを託す。
どうでしょう、“ルナシアター”!
撤収完了した午後の劇場をもう一度眺めてみる。
昨年、ここに劇場など無かったと思うと、
不思議な気分ですが、これは偶然出来たのではない。
ここにあることが当たり前でもないのです。
大きな決断の下に、多くの方が集まり、
知力と経験によって沢山の時間と尽力があり、
この形と文化になったわけです。
杮落しから5日間の公演を経て今日、
あらためて見回してみると、
傷ひとつ無かった綺麗な完成時に比べ、
小さな傷と少しの汚れは、次第に風格となる、
劇場の歴史が始まった事を記す勲章です。
沢山の素晴らしい舞台を創造する責任を感じます。
音楽祭は、まさに怒涛の5日間の内に終了しました。
NPOを形成し、特別協賛という形で、
様々な協力をしてくださったアルソアの皆さん、
何百人という社員の方々が携わったのでしょう。
長坂、須玉の会場は、地元ボランティアの方々が、
手馴れた仕事振りで、協力してくれました。
地元には地元の顔が似合うものだと感じました。
野外劇場の設営から公演中、最後の日まで、
事故1つ、滞りも無く遂行していただいた、
私の信頼する最高のスタッフ方、
また音楽面で手の届かない部分にまで手を伸ばし、
様々なケアをして頂いた音楽スタッフの方々。
北杜市役所のかた、また関係機関や公的機関も、
協賛の名の下に、随分と助けられました。
何百、何千の方々が協力し終了しましたが、
多くの反省と、大きな手応えを生かしながら、
来年に向けていかなければなりません。
まだまだ2回目、ようやくつかまり立ちを始めた、
幼児の様な音楽祭ですが、
他音楽祭にはない「東西の出会いの場」という、
音楽祭のアイデンティティーを失ってはならず、
新しい文化を発信していく事をしなくてはなりません。
尽力くださった方、足を運んでくださった方、
この場を借りて深く深くお礼申し上げます。
仕事はまだまだ終わりません。
終演時間が遅い野外劇場特設ステージなので、
次の日の朝から撤収作業がはじまります。
音楽祭前日の仕込みからほぼ1週間、
お世話になった野外劇場の撤収は、
フィルムのコマを戻すように進んでいきます。
大きな公演のあとに来る虚脱感が多少ありながらも、
みな撤収に汗を流して勤しみます。
劇場に潜む神の話はよくここにも書きますが、
この劇場に宿る神はどんな神なのでしょう?
夜の公演では、午後8時を回るころから、
劇場上空北側に必ず美しい月が現れます。
観客は、柔らかな緑の芝に囲まれて座り、
舞台の上空にしっとり輝く月を楽しみながら、
左右に静かに揺れる赤松を舞台美術になぞらえて、
舞台を楽しみ音楽に耳を傾けます。
きっと冬になれば、さらにキリッとした空気に、
さらに美しい月が顔を出すのでしょう。
そう、ここは月によって護られる劇場かもしれません。
河口湖の美しいすり鉢状の劇場が、
満点の星を臨む“ステラシアター”なら、
ここは、もっと大きな自然の空間、
南アルプスから、八ヶ岳、甲州路を照らす月、
毎日の天候も月に委ね、月が見守る劇場。
勝手に命名しましょう。
月の神になぞらえ、“ルナシアター”
道理で極超雨男の私が居ても降らないはずです。
月に抱かれれば、人間の運などちっぽけなもの、
劇場の運も月に任せ、女神ルナの采配に全てを託す。
どうでしょう、“ルナシアター”!
撤収完了した午後の劇場をもう一度眺めてみる。
昨年、ここに劇場など無かったと思うと、
不思議な気分ですが、これは偶然出来たのではない。
ここにあることが当たり前でもないのです。
大きな決断の下に、多くの方が集まり、
知力と経験によって沢山の時間と尽力があり、
この形と文化になったわけです。
杮落しから5日間の公演を経て今日、
あらためて見回してみると、
傷ひとつ無かった綺麗な完成時に比べ、
小さな傷と少しの汚れは、次第に風格となる、
劇場の歴史が始まった事を記す勲章です。
沢山の素晴らしい舞台を創造する責任を感じます。
音楽祭は、まさに怒涛の5日間の内に終了しました。
NPOを形成し、特別協賛という形で、
様々な協力をしてくださったアルソアの皆さん、
何百人という社員の方々が携わったのでしょう。
長坂、須玉の会場は、地元ボランティアの方々が、
手馴れた仕事振りで、協力してくれました。
地元には地元の顔が似合うものだと感じました。
野外劇場の設営から公演中、最後の日まで、
事故1つ、滞りも無く遂行していただいた、
私の信頼する最高のスタッフ方、
また音楽面で手の届かない部分にまで手を伸ばし、
様々なケアをして頂いた音楽スタッフの方々。
北杜市役所のかた、また関係機関や公的機関も、
協賛の名の下に、随分と助けられました。
何百、何千の方々が協力し終了しましたが、
多くの反省と、大きな手応えを生かしながら、
来年に向けていかなければなりません。
まだまだ2回目、ようやくつかまり立ちを始めた、
幼児の様な音楽祭ですが、
他音楽祭にはない「東西の出会いの場」という、
音楽祭のアイデンティティーを失ってはならず、
新しい文化を発信していく事をしなくてはなりません。
尽力くださった方、足を運んでくださった方、
この場を借りて深く深くお礼申し上げます。
100万の顔 ― 2007/08/29 23:03
東京に戻って2日目。
中旬の猛暑を経験してからの避暑仕事だったので、
帰京後の気温に拍子抜けです。
「来るなら来い!」とばかりに、
気合入れて猛暑を乗り切ろうと思っていたのに。
しかし、音楽祭が終った途端西から東へと雨。
昨夜は落雷に見舞われ、我が家もしばしの停電であった。
オール電化の家は、電気が無くなると弱虫なので、
長引くと困るのですが、すぐ点いてホッとしたのでした。
2日前までの音楽祭の残務に追われながらも、
ドンドン仕事をこなさなくてはならず、
感慨や、燃え尽き症候になっている時間さえなく、
停まっていた仕事の取り返しから手をつけるのです。
夕方の小雨模様の中出掛けていき、
あるオペラ団体のオーディションに参加です。
勿論、私は歌うのではなく聴くのですが。
団体や公演形態によっても様々ですが、
オペラ歌手の皆さんには、オーディションがあります。
そんな事、知らない方も多いのではないでしょうか?
大きなオペラ公演や、ガラコンサートなどがある場合、
適した歌手を探したり、新人発掘の為でもありますが、
受けるのは若い人ばかりではなく、中堅の歌手の方も
オーディションを受けながら、役に結び付けます。
本当に大変だと思いますし、これを採点する側は、
致し方ないのですが、辛いものがありますね。
ヴェルディ、プッチーニなどのイタリア作品、
モーツァルトなどのドイツ作品、はたまた、
ドイツ語でもワーグナーのような楽劇と称するもの、
これにフランス語のオペラや、日本の作品、
ロシア語にチェコ語、勿論英語と、
様々な作品がある中から自分の得意分野や、
歌いたい作曲家を見つけて行きますが、
常にそのような作品を上演している訳はなく、
容赦なく、自分の持ち歌ばかりではないものに
挑戦しなくてはなりません。
公演に合った希望曲や、キャラクターに近い曲、
それらを選択するだけで、今度は音楽とドラマの中身を
知る為の勉強も欠かせないのです。
歌手といえども、役者と同じ、
100万通りの役があれば、
100万の性格を歌い分けなくてはならず、
語学から、運動能力、演技力からダンスまで・・・
その上で自分の歌を歌うのですから、
10代でデビューできてしまうような、
器楽奏者とは根っこからして違いますね。
この公演は、来年の夏なのでまた報告しますが、
楽しく質高い公演にしなくてはいけません。
企画を十分に練り、じっくり作り出そうと思うのです。
中旬の猛暑を経験してからの避暑仕事だったので、
帰京後の気温に拍子抜けです。
「来るなら来い!」とばかりに、
気合入れて猛暑を乗り切ろうと思っていたのに。
しかし、音楽祭が終った途端西から東へと雨。
昨夜は落雷に見舞われ、我が家もしばしの停電であった。
オール電化の家は、電気が無くなると弱虫なので、
長引くと困るのですが、すぐ点いてホッとしたのでした。
2日前までの音楽祭の残務に追われながらも、
ドンドン仕事をこなさなくてはならず、
感慨や、燃え尽き症候になっている時間さえなく、
停まっていた仕事の取り返しから手をつけるのです。
夕方の小雨模様の中出掛けていき、
あるオペラ団体のオーディションに参加です。
勿論、私は歌うのではなく聴くのですが。
団体や公演形態によっても様々ですが、
オペラ歌手の皆さんには、オーディションがあります。
そんな事、知らない方も多いのではないでしょうか?
大きなオペラ公演や、ガラコンサートなどがある場合、
適した歌手を探したり、新人発掘の為でもありますが、
受けるのは若い人ばかりではなく、中堅の歌手の方も
オーディションを受けながら、役に結び付けます。
本当に大変だと思いますし、これを採点する側は、
致し方ないのですが、辛いものがありますね。
ヴェルディ、プッチーニなどのイタリア作品、
モーツァルトなどのドイツ作品、はたまた、
ドイツ語でもワーグナーのような楽劇と称するもの、
これにフランス語のオペラや、日本の作品、
ロシア語にチェコ語、勿論英語と、
様々な作品がある中から自分の得意分野や、
歌いたい作曲家を見つけて行きますが、
常にそのような作品を上演している訳はなく、
容赦なく、自分の持ち歌ばかりではないものに
挑戦しなくてはなりません。
公演に合った希望曲や、キャラクターに近い曲、
それらを選択するだけで、今度は音楽とドラマの中身を
知る為の勉強も欠かせないのです。
歌手といえども、役者と同じ、
100万通りの役があれば、
100万の性格を歌い分けなくてはならず、
語学から、運動能力、演技力からダンスまで・・・
その上で自分の歌を歌うのですから、
10代でデビューできてしまうような、
器楽奏者とは根っこからして違いますね。
この公演は、来年の夏なのでまた報告しますが、
楽しく質高い公演にしなくてはいけません。
企画を十分に練り、じっくり作り出そうと思うのです。
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