ハンス・アイスラー2020/08/10 12:46

お盆休みである。
ゴールデンウィーク(GW)もそうであったが、
日本の長期休みの代表であるお盆も含めて、
昨年までは長期休みではなく、公演もあるし、
地方に行ったり合宿について行ったりなんてことばかりで、
自分自身の休みが長時間あることさえ不思議な感覚です。
とはいえ、4〜5月の自粛期間はラテン系民族並みの
長期休みがあったので、すでに身体は慣れています。

静かで暑すぎる夏では家にいる時間が長く、
やたらと本を読んで映画を見て、、、
という怠惰とも言うべき時間が長くなるのです。

夏休みの研究ではないのですが、
春は生誕150年のフランツ・レハールに拘ったので、
この夏も焦点を絞ってみようかと思っています。

ハンス・アイスラー、ドイツ人です。
名前を聞いただけで拒絶する方と、
あら母校!?などと思う留学生など、いろいろでしょうね。
1898〜1962と言う生涯を思い描いてもすでに激動です。
私が近現代の変わり目と思って芸術分野全体に、
若い時から興味を抱いている1920年代〜彼の活躍、
亡命、アメリカでの活躍、そして帰国・・・
第二次世界大戦後の帰国後に東ドイツに戻り、
その後は共産圏の中で活躍しながら、
東ドイツ国歌<廃墟からの復活>を作曲したことでも有名。
音楽大学の名前にも冠されていました。

だがしかしハンス・アイスラーと言う方の
作品や活動を意外に知られていないのですよね。

私もブレヒトとの共闘とも言うべき作品群や、
演劇や、カバレットの音楽から知っていましたが、
系統的な作品記録に触れていなかったので、
少し真面目に研究です・・・。
そしてこの時代に触れると、
自ずから2つの戦争の記録をなぞりながら進むので、
いつもながらにヘビーだと思います。
そう簡単に研究なんて終わらんです・・・。

バラバラに持っていた音の資料ですが、
最近はBoxCDと言う全集があって、
その価値観はおいておいても、わかりやすい事も確かです。

しかし毎日暑い。

立秋2020/08/09 11:07

早いもので8月です。
世の中は現実的には時間が動いてはいますが、
自身の時計が3月、4月から止まっている方が
ほとんどではないでしょうか?

春がいつ来たかも分からない、
桜を見たのか、皐月を感じたか、
GWを楽しんだか、何も感じず、
ただただ毎日の夕方の数字に一喜一憂しながら、
気がつけば今年も半分終わり、
そのため急な暑さで季節を思い知らされています。

オーケストラは依頼された演奏会から始まりました。
粛々と滑り出し、順調と思います。
毎日の検温、体調のヒアリングなど含めて、
演奏者、スタッフも含めて体調管理が必須です。
マスクの着用、時間をずらして食事機会を避けて、
感染機会が多いとされるリスクも減少させます。
感染者数の数だけでは判断できないこともわかり、
オーケストラは安全という理解もお客様もされています。
少しでも聴覚からの楽しみ機会を得て、
精神的に解放できる時間を持つことも、
ウィルスに向かう力と理解して来場してくださります。

これからお盆ですが、暑い日が続き、
厳重に感染予防をする事もストレスになりますが、
日常的な体調を含めて予防をすることが大事ですね。

立秋も過ぎました。

上野に寄ったので、お墓参りをしました。
近くによるとすぐに手を合わせられる距離がありがたい。
大昔から朽ちていた仏像がきれいに修復されていました。
少しのことですが心が晴れますね。

さて熱中症に注意しながら参りましょう。

公演の日々2020/07/31 23:02

23日から演奏が始まり、
依頼された演奏公演が始まりました。
公演を管理し潤滑な進行を願うのが普段ですが、
今月の再開以降、
「安全に」と言う一言が大きく優先されています。
毎日感染者の数が報道されて、
この数だけでは全ては語れなくとも、
常にウィルスと共に日常を過ごさなくてはならず、
しかし防御して避けているだけでは
経済も文化も停滞してしまいます。
普段でも困窮することがたくさんある
クラシックの世界では、
その世界をどの様に退けて公演を実施するかが、
大きな課題になっています。

最善を尽くしながら進むしか
この世の中を渡り歩いていく方法はないのでしょう。
また明日からも頑張りたいと思います。

村上春樹のクラシック音楽2020/07/25 09:44

つい数日前に村上春樹氏の新刊単行本の
『一人称単数』を読んだばかりだったので、
何度も内容を思い返していたのですが、
ちょっと思いついた事の備忘録です。

村上ファンには周知の通り、
彼自身が早稲田大学の在学中にジャズバーを開いたほどの
音楽ファンでもあるので、
作品に反映されていても何も驚かない訳である。
加えて書き留めれば、
彼のデビュー作のきっかけも極めて有名な通り、
生粋の野球ファンでもあり、音楽と野球に通じるところが
私にとっても読まずにはいられない理由でもある。

ジャズに加えて、登場するクラシック音楽の多さが
流行も生み出してしまう人気作家の面白さですが、
生業としている者にとっては応援もしたくなるのです。

例えば近年の話では、
『IQ84』で重要なキーミュージックにもなっていた
レオシャ・ヤナーチェク作曲の<シンフォニエッタ>が、
書籍の人気と共にCDの売り上げも急上したりしました。

こう言ってはなんですが・・・
<シンフォニエッタ>はクラシックファンでも日常的にも
聴くことはないし、演奏家でも頻繁には演奏しない。
でもこういうクセの効いた曲を選曲する辺りが、
彼の造詣の深さであり、文学に転化した時の料理です。
他にも『海辺のカフカ』にはL.v.ベートーヴェンの
ピアノトリオ第7番「大公」が主人公の人生を変えてしまう。

そう、人生を変える程の重要な音楽として
クラシック音楽が使用される比重の高さが素晴らしい。

さて『一人称単数』の備忘録に戻ります。

雑誌<文學界>への2年間の書き下ろしから纏めた8編の
短編集なのでこのタイトルもその一つです。
「品川猿の告白」という編があるのですが、
詳しいシノップシスは話さないほうが良いとして、
猿が日本語で噺をして主人公と会話するのです。
この猿が世話になった主人の影響でA.ブルックナーを好み
とりわけ7番の第3楽章にはいつも勇気づけられると曰う。
、、、面白いです!3/8のScherzoに合わせて猿がニヤリ
と微笑みながら体を揺する。
確かに軽快なリズムと爽快なハ長調の響きは、
教会のオルガン室に引き籠り殆ど出なかったブルックナーに
してはあまりにも精力溢れる鼻息の様でもあります。
サマーウールにしても暑苦しそうな少しサイズのデカい
ヘリンボーン織ズボンが落ちそうなのを押さえて体を揺すり、
書き上げた譜面を頭で復唱しながら、
どこからか侵入した裏山の猿とアントンが踊る滑稽さは、
私でも勇気づけられそう・・・。

他の編にも、
ジャズ、ビートルズに彩られる作品が並びますが、
もう一つ『謝肉祭(Carnival)』という作品がありまして、
この中にも特徴的なクラシックを取り上げます。

クラシック好きの主人公とF*という女性が仲良くなる過程に、
こんな会話があります。
1曲だけいわば無人島に持っていく曲を選ぶなら。
すると主人公は、
「シューマンの謝肉祭」と僕は最後に思い切って口にした。

、、、ううむ。
この曲を選ぶこと自体面白いですよね。
<謝肉祭>は初期の傑作として分かりやすい20曲から
成り立っていますが、小品集ゆえとても聴きやすいです。
小説の中で語られている様に、歴史的に有名著名な名手が
皆弾いている訳ではない、いわば庶民的名曲。

私の<謝肉祭の>楽しみは、バレエ作品としてでした。
バレエ・リュス(ロシアバレエ団)の代表曲としても
編曲されたこの曲を以前バレエ公演で振っていた時、
著名なカルサーヴィナが踊った話も教えていただきました。
まさにカーニヴァル!という仮装行列と仮面舞踏の様に
奇想天外な音楽集を大変楽しいオーケストレーションで
バレエ音楽編集していたのを思い出します。

村上春樹さんの本を読むとクラシックファンや、
生業としている人はもしかしたら反感を持つ方も
いるのではないかと思うのですが、
隣り合わせ背中合わせである音楽と文学が、
活字の中で対話をしながら頭の中で音楽を鳴らし、
立体的に劇作品の様に展開をしていく様子が、
私は大好きなのです。

あら、いつのまいか備忘録程度のはずが、
長ったるい噺になってしまいました・・・。

失礼。

5ヶ月ぶりの公演2020/07/23 23:17

2月26日より公演の自粛に入り、
感染拡大から公演を再開ができずに春が過ぎ
初夏、梅雨を迎えています。

6月に入り、毎日発表される数字は
少し好転することを期待させましたが、
全ての協力の結果であり、経済、音楽をはじめとする
専門業界などが発展を止めた成果であったということは、
7月以降の数字の上昇を見ると身に染みて感じます。

報道される他国に見られるシーンですが、
自由さと感染のリスクを取引したような生活は
日本人の感覚ですとなかなか馴染みませんが、
そんな私達でさえ、
動かなければ終わってしまう恐怖に似た感覚があり、
あの自粛に戻りたくないというトラウマもあります。

だがしかし時代を乗り越えるためには、
ウィルス達の共存を考えなければいけないと思うのは、
否定すると、乗り越えるための闘争心も身体に宿る武器も
手放してしまう怖さだと思います。

生身の人間は弱いですので、未知の敵は怖いですし、
自分の体調や戦闘能力さえ自分でしかわからないので、
自分の身は自分で守るしかなく、
社会に全てを添うことは非常に勇気もいることです。

そんな今ですが。

5ヶ月ぶりの演奏会でした。
クラシック音楽ですので、お客様も年齢層は高めですし、
手を振り上げる事も、ストンピングもなく、
静かに聴く演奏会であることは世界共通です。

この数ヶ月、世界中の情報を集めながら、
他団体の検証実験、他国の公演に対する対策、
国の指針、東京の情報、関東の対策・・・
実にたくさんのことを考えながら、
安全確保を最優先に開催いたしました。

たくさんのお客様の拍手、声には出さない声援、
心の中から聞こえてくるブラヴォーの賛辞もあり、
本当に嬉しい日になりました。

浮かれた気分は一寸もないのですが、
ほんの少し取り戻した日常だけで、
エネルギチャージをした気分です。

明日がまたよい日になると信じて進みましょう。

村上春樹新作2020/07/21 23:07

書籍を数多く買いますが、
大抵は研究所であったり、資料なのですが、
平積みを見渡しながら本屋を歩くのは楽しいです。
久しぶりに書店の一番入り口近くに積んである
新作小説を買ったのではないでしょうか。

村上春樹/一人称単数

なんともソソるタイトルですが、
この装丁のイラストもとてもよいですね。
作者の星野徹也さんは漫画家ですが、
イラストがとてもよいですね。

この本は8作の短編集で購入した日に一気読みですが、
村上春樹氏の独特の心理描写が楽しく、
数日経ったらもう一度読もうと思うのです。

じっくり読んで二度と読まない小説もありますが、
読了した後にじわじわと言葉を思い出して、
もう一度その章を開いてみたり、
気になる会話を読んでみたり、という本もありますね。

お勧めです!

文藝春秋社創刊1500円+税

三島の映画2020/07/15 23:29

夕方から時間が出来てようやく観られました。
「三島由紀夫vs東大全共闘」

左翼の学生運動として活動をしていた東大全共闘の集会に
シンポジウムとして招かれた右翼思想の三島由紀夫が、
如何なる発言をしたかというドキュメントです。
1968年のこのシンポジウムから1年半後、
市ヶ谷の自衛隊駐屯地で自決するまでの話ですが、
有名なドキュメントの再編集と、
このシンポジウムを主催した学生代表、
三島を支えた彼の義勇団ともいえる楯の会の方々の
証言を挟みながらの息もつけない90分。

2月から観たかった映画を
ようやく見ることが出来て本当に良かった。
とりあえずの備忘録です・・・。

ダダ/ナチ2020/07/12 21:01

こればかりは仕方ないのですが、
大昔から書籍と楽譜と音源が増える一方でした。

それでも昨今の時代の流れから
新譜CDを買う機会が減ったので、
音源は昔録音された資料を
必要な時に探して購入する程度です。

譜面もフルスコアの新譜を必要とすることが
ほとんどないので、
古典から後期ロマン派に至るまでは、
一応のものがある気もしますし、
オケにあるものはそこでも参考にできるので、
譜面を買う機会も明らかに減っています。

だがしかし、書籍・・・。
こればかりは減る訳がなく、
増える一方です。
1つを調べて研究すれば、切りのない探究に陥り、
初版で無くなっている本を探し回ります。
これらは、参考書籍の巻末<参考資料>を見ると
実に様々な書籍が紹介されているので、
自分の持っているものと知らないものも
一目瞭然です。

敬愛する平井正先生のベルリンシリーズの
3巻セットは、以前から参考書籍として
非常に詳細な記述がわかりやすい資料ですが、
この度ようやく3巻揃ったのは、
1993~94年に掛けて刊行された
ダダ/ナチ<DADA/NAZI>
1913年から1932年までのドイツの芸術文化、産業
そしてナチスドイツの台頭に至る歴史を
追っています。

平井先生の素晴らしいところは、
歴史を庶民や大衆の目から見えるところに置き、
芸術文化、また退廃的と片付けられた世界まで
真っ直ぐに見つめながら詳細まで拾ってくれるところ。
クラシック音楽という限りあるジャンルでは
誰も見ていない、録音、映像も、
写真さえ残っていない200年、250年前の物を
文字と譜面から想像して作り上げたりしますが、
19世期末以降、20世期というのは、
これらが視覚的にも聴覚でも再現できますから、
時間が過ぎてしまった日常が寄り添うと、
さらに事象が証言されて、正当性があります。

500ページもある書籍を端から読んでいる時間は
とてもないのですが、
必要な時に捲ると必ず答えやヒントがあるので、
頼るべき私のバイブルの様なシリーズです!
ウィキペディアでググって終わりにする事では
済ませないことが、私にとっても課題です。

再開に向けて2020/07/10 09:25

自粛期間の時には、私たちの辛抱の成果で
数字が下がっていくのを頼もしく拳を握りました。
このところの感染者の発表を見るのは辛いです。

されとて毎日5万人も罹患していく国もあるのは
横目で見ていても背筋が凍ります。
さる都知事候補者のスローガンで書いてあった
コロナウィルスが風邪の様なもので済まされるなら、
日に10回も鼻を噛むか、微熱で学校職場を数日
休むことで治る様なことでしょうが、
どうやらそうはいかないですよね。

インフルエンザで死亡する方が流感時の毎月1000人以上
出るのもこれまでとしたら、
このコロナへの対処は何が正しいのか、
訳が分からなくなります・・・。
だがしかし個人差で凶暴化するウィルスですので、
罹患しないことが風邪、インフルと同じく良いのです。

経済も動かなければ困るし、
私たちの文化芸術の世界も朽ちては困る。
生きながらえるために頭を隠しやり過ごせば
時が特効薬を作って解決してくれるでしょうが、
その時に再生しようと思っても、
沈んでしまった世界に生きる価値を見出せるのか、
という鬩ぎ合いを常にしている気がします。

オーケストラは少しずつ動き出しています。

安全なテリトリーを少しでも増やし、
その制約の中でもできること実施するのが使命であり、
自らを助く経済活動でもあります。
再開とも言い切れず開放でも全くないのですが、
貨幣価値や物価、などの経済対価をも凌駕するのが、
文化芸術の真髄と信じて進むしかないのです。
私にはこれしか生きる術なないです。

さて弱音はなしで前に進みましょう。

poco a poco 、、、2020/07/09 16:50

少しずつ、少しずつ、
ゆっくり、ゆっくり、
足下を確認しながら、
ぬかるみに足を取られぬように、
慎重に、確実に、
歩みを進めていきます。

どんな確認をしたか、
その都度、度々と振り返り
軸足が緩んでいないか、
その先で動転してしまわぬか、
周りは頷いているかも見回して
歩みを進めていきます。

靴の泥を拭って、
もう一度左側から見回してみよう。
目を瞑って明日の来客を想像しよう。

もうすぐ、もうすぐ。
カウンター