水分不摂取2016/05/28 23:11

とある方の公演、いやライブに行きました。
ということでジャンルでいえば軽音楽です。
たくさん感激したのですが、
もう見習うべきところと考える部分もたくさんあり、
収穫沢山のライブだったのです。

年齢で言えば60を回りましたが、
長年のロックスターとしての演奏活動は多岐に亘り、
毎日テレビで観られる方ではないのですが、
体型から声、何も変わってはいないのが第一印象。
ギター1本での弾き語りという言い方は、
もはや似合うわけがないダイナミックなサウンドは、
アコギの音色をフル活用した演奏スタイル。
「この方はこんなにはギター上手くなかった」
と40年前から知る私は思うのですが、
ギターの演奏機会も相当多く、
そもそもそれ以上の練習を日々積みながら、
声とギターの対峙も一体化も思考しながら、
演奏しているという素晴らしさで感激でした。

終わったのは開演から140分後。
つまり2時間20分フルサイズの弾き語り。
しかも休憩はしない・・・。

舞台センターにセットしたサークルの真ん中に
座ったらそのままアンコールまで下がらない。
サブのギターを置いて、音色の優しい
もう1本のギターを途中で変えて、
後はチラ見する譜面を時折見るだけです。

一般的には弾き語りって聞くと、
ポロロオオ〜ンなんて爪弾いて、
何やら小さな切ない声で歌いながら、
肩の力の抜けた演奏と歌声というイメージでしょうが、
いやいやもうアコースティックギターのハードロック。
1人で数人分のバンドと
パーカッションのリズムワークもループさせながら、
歌う、叫ぶ、そしてトークも際立って面白い。
ギターを弾いていない時間はなく、
喋りが寸断するのはギターをチューニングする
ほんのちょっとの間だけです。

どんだけ気力と体力があるのでしょう?
休憩無しですよ!??

本番指揮していても1時間やれば休憩したいかも。
1時間20分の大曲はありますが、
2時間20分の休憩無し大曲はオペラでも無い。
振るだけでも演奏だけでもなく、歌だけでもなく、
全部一緒にやって休憩無し。

素晴らしすぎてどうしようもなく感動しました。
けどそれだけではないのです。

この方水飲まない・・・。

予備ピック、カポタストもありますので、
脇に小さなテーブルがあるのですが、
そこの小さなペットボトルが置いてありました。

でもそれに触りもしない・・・。
見ようともしない。

シャウトしながらずっと歌い続けて、
ギター弾く腕なんて数万回は振りまくって、
汗もかくだろうし喉も渇きも尋常じゃ無いはず。

でも水飲まない、触りもしない。
心底感動しました、そこにも。

前にも書いた気がしますが、
現代では飲む(drink)というマナーやルールが
多様化しています。
日本の変化の方が大きいのかも知れません。

子供の頃は飲み物はコップに注ぐのがマナーであり、
瓶に直接口をつける事は衛生面でもマナーでも
違反と習いましたし今でもそう思う。
然し乍ら「ラッパ飲み」という言葉が何故死語になったか?
何故直接口をつけて飲むのが何故当たり前になったか?

ペットボトルの普及です。

自動販売機では瓶の物は扱いが面倒なので、
捨てる処理が簡単な缶製品が増えました。
さらにアルミ缶でもっと簡単になり、
後にスクリューの蓋で保管ができるペットボトルが
普及すると利便性の良いペットは、
缶を凌ぐ様に主流になりましたね。

持ち歩いて飲めるという手軽さは、
コップを必要とする不便さが無くなったけど、
直接飲まないというマナーも無くなった。

これは社会のルールの変化ですから
私が力説する必要もないのですが、
変化が及ぼすマナーの変化は重要です。

劇場ではその昔弁当を食べていました。

今でも歌舞伎座に行けば食事休憩があり、
また観劇中にお茶を頂ける席もあります。
まぁ西洋にもオペラを見ながら飲み食いする
感心しない貴族社会の特権ルールもありましたね。

現在はホール公演などの場合ではホール内での
飲食はしない事が当たり前のルールになっています。
これは昨今の喫煙できないお店ルールにも似ています。

これらはお客さん側のルールでもあります。

でも出演者側って意外に曖昧なルールなのです。
ホール使用の練習でも客席や、
ましてや舞台上でもペットボトルに口つける方がいます。
もっというと練習中の時間が空いた時に、
その場で楽器を置いて水飲んだりします。

もしかしたら指揮者でも飲む方がいるのか?

以前の小さなコンサートを主催した時の話です。
20代の若い演奏者の方々の室内楽でしたが、
演奏する席の脇にみなペットボトルを置いています。
曲間のトーク中に水飲んだりしているのです・・・。
でもお客さんはそんな事せずに聴いてくださっている。

本末転倒ではないでしょうかね?
と終わってから注意もしましたけど、
あまり罪悪感はないと思うのも仕方のない世代。

海外のコンクールの演奏映像で、
楽章間にペットボトルの水を飲んでいるシーンを
何度か見ましたが、これは注意しないのか?
甲子園大会だって猛天下の中、
保水せずに試合するのがルールだから倒れたり、、
でもそれがマナーと感じるものです。

私も好き勝手に水飲む習慣は気をつけていますが、
古いと言われればその通りです。
でもそうではないと昨日思った。

140分水飲まずに公演する集中力と
休憩無しのお客さんへの配慮。

こういう演奏家の姿勢を学びたいものです。

可笑しな視点でしょうが、
魅せるという事はこういう事だと感じます。
プロの意識とはこういう配慮だと思いました。

なっげ〜な、面倒なブログだな・・・
失礼いたしました。( > < )
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