マガジン考・そのロ2007/05/08 01:41

「何故、雑誌は成長しないのか?」
この話の続編なのですが、
成長の意味とは、現在を時刻で切り取り、
特定世代だけを対象にした編集ではなく、
読者の加年に合わせて雑誌も成長する、
「永年成長型雑誌」を創刊していただきたい、
という事なのです。

一世風靡したマガジンハウスの「ポパイ」は、
1976年7月が創刊ですから、
私達の世代は、少し背伸びの20代の流行から
多くの事を学び影響を受けました。
しかし、30年経過した今でも、
『都会型”若者”に焦点を絞った
20代のメンズファッション雑誌』
というテーマで編集しており、
私達は、立ち読みさえも罪に感じるのです。
他にも「ヴァンサンカン」(仏25)という女性誌は、
まさしく常に25歳を中心にしたものですし、
雑誌名からして対象を変えられないものは、
セブンティーンや、ポップティーンなど、
沢山あるものです。

私など思うに、何故「ポパイ」は、テーマを、
「1855年~1960年生まれの為の雑誌です!」と、
してくれなかったのでしょうか?
誰にでも年齢と共に変化していく問題点があり、
これは良くも悪くも逃れられない共通のテーマです。
年と共に抱えてゆく問題点を特集記事にして、
「ポパイ」も年をとりながら、対象年齢自体が、
少しずつ上がっていくのです。
例えば、大学から社会人になるときの、
就職の問題や、引越し、新入社員時代、
会社での出世や転職、また人間関係からマナーまで、
結婚や離婚などの恋愛話から、結婚生活や、
子供の教育問題、進学から教育費、
次は、次世代へのバトンタッチも始まりながら、
年金から定年後の生活、同居問題から相続まで・・・

40年、50年と年を経て、成熟していく人間は、
みな共通の悩みを抱えるのでしょうから、
同世代を長く一緒に生きた、
読者同志の見えない繋がりはエネルギーになり、
問題解決の手掛かりにもなるでしょう。
勿論、『都会型メンズファッション雑誌』
という位置づけには変わりはなのです。
いつだって、『お洒落で素敵なポパイ世代』という、
外からの好評価は得られるのです。

誰だって、現実を見ながらも少し若い気持ちで、
同じ時間を共有した仲間を大事にするものです。
つまり、現在時刻までには、どの世代にも、
生きて来たそれぞれの時間経過があり、
偶然同じ時刻を様々な世代が共有しているだけです。
それを、時間軸を無視して、時刻だけを切り取り、
世の中は現在の連鎖で未来に向かうという
錯覚を引き起こさせる雑誌作りは、
いい加減にした方が良いのではないでしょうか。

こんな事を子供の頃から思っていましたが、
20年前と今では確実に時代が変化しています。
以前は対照に年寄りなんて気にもせず、
時間を持て余し、浪費家で体力もある若者が、
常に流行を作り出し日本を支えるという図式を
雑誌は特に作り出していました。
しかし、そんな世代も中年になり、
世代別人口の推移で、表の図形が目に見えて変わると、
出生率の低下から、若者だけ相手ではダメなので、
次第に上の世代へのメッセージが多くなり、
雑誌の刊行も次第に世代は上向けです。
そして「ちょい悪から団塊の世代」目当てに、
相変わらず横切りの時刻雑誌を作り出します。

きっと20年後は、ホントに、
60代以上が流行を作り出し、巣鴨はパラダイス。
原宿は、「若者の巣鴨」と言われる逆転現象。
任天堂DSのソフト売り上げNo1は、
『コレでボケない80代の脳トレ!』でしょう。
どんなに発行部数が激減しても、
残さなくてはならない小学生向け雑誌は、
「小学1~2年生」もしくは「小学低学年」とか、
「小学だいたい4年生」・・と、統廃合が進む。
10~20代向けファッション誌は、ほぼ全滅で、
若者は必死に30年前のバックナンバーから、
リバイバルファッションを研究する。

きっと無くなってしまいますね、
若者向けの雑誌類。

だから、今の雑誌を成長させたほうが、
きっと面白い内容になると思いますし、
タイトル変わらず読者も決して離れない。
年齢の節目で自分にあった雑誌を探し、
タイトルに違和感を覚えながらも、
現時刻に愛着を覚えようと、必死になるのは、
もう止めにしたいものなのです。
成長する雑誌は、廃刊とは言わず、
昇天が名誉な事です。
タイトルは、私達向けならば、
「月刊昭和40年代」とか、「新・新人類」。
料理本なら、「カルピスとケチャップ」、
スポーツなら、「永遠の3&世界の1」・・・
楽しいじゃないの!

『永年成長型雑誌』
これを是非作っていただきたいのです。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://hanatsubaki.asablo.jp/blog/2007/05/08/1492445/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

カウンター