寒波2005/12/16 09:56

寒いですね。

寒いの嫌いではないが、日本の湿気を伴った冷気は、
たまらないです。空気は乾燥しているのだけれども、
足元から膝にサワサワと上ってくる奴らは、なんとも寒い。

ベルリンにいる時(って、最近すぐ思い出すのは、冬のせい)
知ったことですが、凍死って、脳がやられるのですね。
昔は、ニュースで<ニューヨークの街中で先週は10数人の凍死>
なんて聞くと、「そんな寒いところで、どうやったら死ぬまで
我慢できるんだろう」って思ったんですけど、
実は死んでしまうんです。
私も体験しましたが、マイナス10度くらいになってくると、
少し頭がキンキンしてきて、次第にちょっと思考回路が
鈍くなりはじめ、目がトロッっとしてくる。
これが危ない!
日本と違って、ヨーロッパは(ベルリンだが)、まるで湿気がなく、
冬の乾燥具合は、日本の比ではない。
外に立っていても、空気中の湿度が無いから、
肌で寒さを感じる事ができないんです。
-5~6度になっても、+2~3度の意識。
しかし、だんだん体の中からやられてくるので、
脳が凍り始めて、意識が遠のいてくる。
こうなると、眠るようになり始め、次第に凍死への
第一歩。
昔、映画[八甲田山]でも、
<おい!寝るんじゃない!起きろ!起きろ!
寝たら死んでしまうぞ~>って、隊長が叫び、
互いの頬を張り合っている場面見ましたが、
そのときも、
「あぁあぁ、あんなに雪に埋もれて、
いくら疲れているからって、寝る奴があるかよ!
パンパン叩かれても、起きないものかねぇ~」
って、コタツの中で御煎餅を頬張りながら思ったが、
それは、全くちがうのですね。

帰国寸前にモスクワで買った、頭を守る帽子がありまして、
ふかふかのウサギの毛で覆われたアレね。
教訓を生かし、頭守る事考えて買ったものの、
なかなか活躍できません。
日本で被っていたら、蒸れちゃって、頭かゆそうだし。
ましてや、地球温暖化で帽子棚の一番奥へと進み、
活躍なく春を迎えて10数年。 鎮座しています。

3年間のベルリンで一番寒かった経験は、
2年目の冬2月に、ビザの書き換えで、
外人局前に並んだとき。
その頃は壁が崩壊した後で、
大量の外国人がビザ取得申請に来るので、
朝一番でも、既にその日の分は締め切られ、
おのずから前夜から並ばなければならなかった。
午前0時から、8時間並んだ。外気温は、-20度。
脳が死ぬ事を知っている賢者のわたしは、
完全防備で臨み、着膨れで関取の様。
手袋も3枚、パンツは5枚(冗談)
一人ですから、本を何冊も読み、周りの中東系のお兄さん方の、
熱い視線にも耐え、でも寒くて、最期は般若信教を唱える始末。
死ぬかと思った頃、朝日のなか、時間を繰り上げて
局員さんが、ドア開けてくれたとき、喜びの声と共に、
皆歩き出したのだが、固まりきった膝の関節に、
体が言う事を利かず、ボーリングのピンのように、
全員将棋倒しになりました。

でも冬は、好き。
「ガンバレ!」っていう大地の叫びに、「おう、激励感謝!」

写真は表参道の森英恵ビルの前。
冬の陽と、葉が落ちたケヤキの木の下で、
首をすくめて信号待ちする、老若男女、外人邦人。
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