yami市2015/08/11 14:54

「東京人」という月刊誌があります。

江戸っ子を自称する方はもとより、
東京に長く住む東京大好きな方ならば、
興味深い話題を常に提供してくれる本なので
知っている方も多いとおもいます。
私もいつも目を通しているのですが、
歴史の事、特化した街の話題や、
風化してしまいそうな事柄や、
東京ならではの職人や飲食店に至るまで、
事細かに様々な特集を組んでくれます。

この号の特集は<ヤミ市を歩く>

もちろんヤミ市とは戦後の動乱期に、
正規の流通品以外の物販をした事から、
この名称が来ていますが、
物が売れれば人が集まり、
そのこに飲食店から大衆文化まで芽生え、
次第に街を形成していった場所です。

大都市の真ん中ばかりにあったので、
整理され消滅無している場所も多いのですが、
上野〜御徒町のアメ横のように現代まで生き残り、
日常に溶け込んでいる通りや場所も多いのです。

陽の目とはいわなくても、
当時のテキ屋の権利がうまく移譲されて、
その後酒場になった場所もとても多く、
これらは私もあちこちでお世話になります。
仄暗く疎ましく見る方も多い体裁でしょうが、
私にとっては無機質な気取った店よりも、
人間的で居心地の良い場所が多く、
独りでモノを考えながら喉を潤すには
こんな空までもが遠い場所の方が、
却って都合が良かったりしますね。

10年後、この店この通りはあるだろうか?
と毎回思いながら脳裏に焼き付けますが、
こういう歴史が整理されてしまうと、
保存も利かず博物館にも入れないので、
ヤミから闇に葬られてしまうものでしょうね。

精一杯座っておこうと思うものです。
カウンター