聖夜2006/12/24 22:14

銀座教会は、メソジスト教会として、
1890年7月に現在の場所、
銀座4丁目の有楽町駅のすぐ近く、
外堀通り沿いの角に、誕生しています。
正統的なプロテスタントのキリスト教会として、
60年以上続けられている毎日正午の礼拝には、
数多くの銀座在住在勤の教会員の他、
誰でも礼拝できる開かれた場所でもあるのです。

典型的仏教徒、浄土真宗の私ですが、
西洋音楽を中心とした生業の為、
常にキリスト教の隣りに鎮座するような生活で、
神の御前にて恩恵を与ることは、
お寺で手を合わせて念仏を唱える事と、
それほど変わりはないと勝手に決めているのです。

「銀座ミツバチプロジェクト」。

もう何度もこのブログでも登場しているので、
耳慣れた方も多いでしょうが、
今年春の集蜜から作った蜜蝋(ハチミツの蝋燭)を、
銀座教会のクリスマス礼拝で灯していただく。
これも、プロジェクトの大きな、大切な行事でした。

銀座教会の礼拝堂に、
初めて入らせていただきました。
打ちっぱなしの灰色のコンクリートが吹き抜け、
天高くオルガンパイプがそびえる様相ですが、
祭壇と礼拝の椅子の温もりが、聖なる空間を中和させ、
均整のとれた緊張感と優しさが静寂を包みます。

礼拝に参加している某女子学院高校の生徒15名の、
ハンドベルの楽奏は、あまりに素晴らしく、
寸分の汚れなき音色は、冷や汗が出るほど美しい。
ハンドベルは、音域3オクターブに渡り、
大きなベルは8キロにもなるという。
ハンドベルは、胴とスズから作られる青銅製。
青銅(ブロンズ)は、名の如く、
酸化し深い緑青色になるものが多いが、
丹念に磨き上げられたベルのスズ色は、
祭壇の蜜蝋の灯火が反射して、
プラチナのような眩い輝きである。
15人の美しい彼女達が、
寸分違わないアンサンブルを奏でれば、
振り下ろす腕に合わせてキラキラと輝き、
満天の星空から流れ星が降り注ぐようである。

牧師の先生が仰った。

「この世の中で、不安定な世界の中で、
クリスマス礼拝を捧げられる事の不思議さ・・・」と。
そう、これは奇跡なのだ。
こうしている間にも、
世界中の100以上の地域で戦争と紛争は収まらず、
人が人を傷つけ合い、災害や飢餓で、
数千数万の命が奪われていく。
静寂と音楽の中で祈り、
キリストの生誕と御加護に感謝する。
そうもはやこれは奇跡なのですね。

夕刻、教会を一歩出れば、
現の世界では、肩を寄せゆっくりと歩く恋人達、
笑いながら買い物に興じる家族、
色とりどりのイルミネーション・ツリーと、
物に溢れかえる銀座の街、街、街。

静かに手を合わせながら過ごした75分。
賛美歌を歌い、手を合わせながら、
日頃の不埒な毎日を懺悔し、平和を祈る事で、
一時の魂の浄化が許されたような満足も、
瞬く間に、現実へと引き戻されていく。

「そうだ!先祖の墓参りしよう・・」と、
ささやかな宗教心に俄か芽生えた事だけは、
本日神から授かった揺ぎ無い心境の変化なのだ。

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