明治演劇史2016/03/24 23:24

 数日前に買い読み耽っています「明治演劇史」。

 歴史の本と思われそうですが、いやいやこれは人情話とも思えるほんでありまして、読み出のある内容です。
 もう3年ほど前に出たのですが、買いそびれたままであったので、ようやく読み始めた具合です。著者の渡辺保さんは単なる研究者でも教論家でもなく、演劇の現場を知っている方だけに、時代と共に生き、明治に翻弄された役者の気持ちも汲みながら書いているところが実に嬉しい。

 川上音二郎の奥さんであった貞奴の書籍も相当な面白さでしたが、この時代を生きていた方々の芝居に対する熱意や、伝統を守らんとする芸能者の歯痒さもいいですねぇ。
 最初が幕末から始まりますが、倒幕と明治天皇、そして幕府に擁護されていた能世界がどのように変わったということから、枝葉が広がっていきます。松井今朝子さんなどの幕末本を書く方が好きな私に取っても、知っている事のさらに裏側を紐解いてくださったり、思わぬ人間関係を披露してくださったりと、膝を打つ事ばかりなり。

 明治天皇即位の16才という年齢から明治期を見渡しても、この大変な時代が見えてきますし、明治維新、文明開化という先端の時代と流行の写り変わりを考えても、文化芸術論として大変感慨があります。

渡辺 保著
「明治演劇史」
講談社:2800円(ハードカバー478頁)

・・・頁を捲って書いてあったのは、装丁 南伸坊
ううむ、外側のセンスも大事な演出です。

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