アンサンブル2007/01/11 23:25

ダンボールの山、山、、
いやこれはダンボール山脈だ・・。

途方にくれた一夜が明け、
強制的に起きなければならなかったのは、
今日は引き続きピアノが運ばれてくるのだ。

目を擦り、移動元に出かけ運送屋さんを待つ。

昨日の引越し芸術を目の当たりにしたので、
実はワクワクしながら開演を待ったのである。
やがてクレーンを配したトラックが、
花道とは言えないが、
舞台下手、、、いや、左手から、
ゆっくりとしかし確実な足取りで、、、
いや、素早いハンドル捌きでの登場である!

思わず声をかける、
「待ってました!いよぉ、運送屋!」
屋号が解らないのだが、まぁ、これでもよい。
ピアノは、アップライトでも200kgあるのですが、
熟練の運び屋さんは、2人でこれを運ぶのです。
この技は既に何度か目撃して知っていましたから、
再演が見られる事もとっても嬉しい。

簡単に運び出されたピアノは、
次のステージに移動です。

今回は2階と地下と入れたのですが、
2階はクレーンで上げ、サッシを外して横倒しで、
また地下は、狭いドライエリアからですが、
隣家との間が狭いので、若干難しいのでした。

電線が何十本も張り巡らせてあって、
クレーン作業泣かせの中、
無駄ない動きと、的確なリモートコントロールで、
ピアノは、寸分違わず吊り上げられます。
とっても楽しそうなクレーン操作だが、
数センチの幅を見事に操るものです。
3人の作業ですが、役割が決められていて、
適役と思わんばかりの作業工程に、
観客の私は、息を呑みながらの応援です。

近くで作業を見ていると、
業界使用の言葉や、作業用の備品が気になる。
サッシや壁を傷つけないように、
分厚い1尺幅のマットのような物を敷くのですが、
これは通称"子座布団”、なんて呼ばれてます。
また、聞き違いかと恐る恐る質問しましたが、
鍵盤部分をぶつけないため保護する、
ひも付きのクッション材を“ブラジャー”だって!
ま、隠語でしょうが、
業界に1歩近づいた様で、これまたちょっと嬉しい私。

日本独自の音頭取り、
声を合わせ、『あっ、せいの!』っと、声掛かると、
これで、次の1拍目には、
ヘソの下3センチの下丹田にグッと力が入り、
200kgがスッと浮くのである。

いや~、イナセだなぁ~と、私は悦・・・

そして備品を格納して終演。拍手を送り、姿も見送り、
本日の絶妙なアンサンブルを思い起こし、
良いモノ魅せていただいたな~っと、思うも束の間、

振り返れば、積みあがったダンボール山脈に、私は鬱。
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