東京初演2015/03/11 23:09

土曜日14日の公演の稽古が連日です。

エコオペラと謳って創作された作品は、
4人のソリストに女声合唱、
シンプルな1幕6場のオペラです。

病で声を無くそうとしている歌手「音哉」。
恋人「澪」に苦悩を打ち明けながら、
葛藤する生き様と恋人を愛する心。

岬で出会った魔法使いと称する「あかり」は
2人の行く先を心配しながらも
自らの恋心の矛先でもある「先生」との恋が
成就するのを待っている。

浜辺のコーラスが本番を迎える日、
深い池に住む伝説の龍が現れれば、
その魔力で様々な願いを叶えてくれると言う。
龍を呼ぶコーラスの声に現れた龍。
二つの恋は成就し音哉も生きる希望を持つ。

2008年11月に静岡県御前崎の委嘱により、
作曲をした作品ながら、
作曲中の三木 稔本人は病の悪化や、
思わぬ別の症状で入退院を繰り返しました。
病院にキーボードを持ち込んで作曲し、
物凄いスピードで完成させたオペラは、
6曲の女声合唱も独立して歌うことが可能。
シンプルなソリストの編成でありながら、
4人のアリア、3重唱から合唱との終曲と
盛りだくさんの内容。

舞台転換が無いので美術予算の縮小になり、
小道具類も少なく、道具関係もエコ。
合唱も昨今の事情を反映して、
混声ではなく女声のみの3部編成。
こうする事でアマチュアで盛んな団体も
この合唱は気軽に歌うことが可能です。

日本史に添う9連作など含め、
様々なオペラに関わった三木ですが、
上演以前の経済状態に左右され、
資金調達に悩むばかりのオペラ上演を
何とかシンプルに出来ないかと考え、
身の健康状態からの苦肉の策のような起案も
理にかなったエコオペラでもあります。

しかしエコなのは制作していく上だけ。
このオペラ演じる側は大変です。
日本語オペラには日本語で歌う難しさ、
ダイレクトに伝える必要性もあり、
誰もが向いている訳ではないと思います。
1時間のオペラを4人で歌い
ほぼ休む間もなく演じていく事は、
体力的にも技術的にも鍛えられた
方々でないと大変でもあります。

今回のソリスト4名はとても真摯に考えて
公演に向かっていてくれます。
また合唱団の長い間の稽古がようやく
花を開こうとしているのを感じ、
指揮者としても企画者としても、
公演が成功に導く使命を感じます。

3月14日まで後数日。
今日は初めての通し稽古でした。
とてもよいスパートだと思います。
エコルマホールは狛江の駅から1分、
新宿から20数分で狛江に着きます。
3000円で松村禎三作品と、
東京初演の三木 稔オペラが見られる2時間。
残席僅少ながらまだまだ席はあります。
是非大勢の方に来て頂きたいです。
カウンター