コンクール演奏2015/01/29 23:14

作曲コンクールの本選演奏が終わりました。
演奏を担当しただけなのですが、
様々考えさせられるものですね。

今回の規定は「少し大きな邦楽編成」
ですから現代邦楽の定番スタイルから、
新しい試みまで可能とする編成です。

1964年に日本音楽集団が結成されて
昨年で50年の節目を迎えました。
この事は素晴らしい事であり、
様々な障壁を乗り越えながらの歴史を思い
尽力を果たしてきた先人達を含め、
感慨深い半世紀であると思います。

私は今までのほんの20年ほどしか、
邦楽の世界を見ていませんし、
邦楽古典に於いては、大有名曲、
興味があるジャンルしか知らないと思います。
日本音楽の歴史の深さと枝分かれした
現在までの発展を考えると、
全てを網羅しながら知識を蓄えるのでさえ
今からでは困難とも思われます。
しかしながら、日本人である我々が、
どのようにして音と生活を捉え
日常や習慣と音楽を結び付けてきたか、
如何にして臨まれるべき音が音楽として
進化発展してきたのか、
とてつもなく興味があるのです。

西洋音楽を生業として生かされている
音楽家が西洋音楽家であっても、
所詮は日本人であり、米を喰えば、
正座もして日本語を話している。
西洋音楽が仕事といっても、
知識と実践として必要なのは、
殆どの方は400年もあれば十分。
それ上遡ると宗教観や民俗学にまで
言及しないといけないのかも知れない。

ではなぜ西洋音楽演奏が可能かといえば、
後に整理されていった合理的音楽法、
縦横のマスと時間を計りながら、
リズムやテンポを生かしたお陰で、
東の果てに住んでいても共用語のように
音楽の基礎を掴む事ができたわけです。
音楽教育のお陰なのでしょうし、
万国共通の言語を話すように、
西洋音楽というのは成り立っています。

日本の音楽、和の音というのは、
不合理きわまり無い訳であって、
マスや時間に閉じ込めると、
本来の概念が覆ってしまうわけです。

しかしながら、テンポやリズム、
また音程の加減までも、
合理性を見つけていきながら、
邦楽間の共通言語を作り上げて
新しい邦楽の概念を作り上げよう、
というのが現代邦楽の理念のはずです。

50年が経ち、
現代の我々創った方々の子供世代、
よもや今10~20代の方は孫世代。
様々な事を考えるときが来ていると、
心のソコから思うのです。

コンクールの結果は面白いもので、
結果といいながら審査員の趣味や希望もある。
違いに甲乙をつけて順位が決まるだけでは
無いというものですね。
そういった意味で2曲の正体は、
正反対と言っても良いほどの概念で、
演奏する側も、そして創った本人も、
いろいろな事を考えたのではないかな。
そういう意味で考えると、
競う場のコンクールが、
考えさせられるフォーラムのように、
諸所提言をしていたのでしょう。

新しい価値観が生まれる瞬間というのは
なかなか立ち会えるものではないし、
後から価値を認識する相対的なもの。
だから創造は面白いし、
その場を提供し続ける事が大切という事は、
全員の共通見解ではないかと思いました。

楽しい、そして能が溶けそうなほど考えた
1月後半になりました。
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