後ろ向き2007/10/02 23:51

本番が近づくM大オケのトロンボーンの方々。
土曜日6時から本番、、、だそうです。

私は意地悪ですから、レッスンに訪れれば、
わざとプレッシャー掛けながら、
怖い顔などしたりして正面から見ているのです。

楽器を演奏して人前で発表するなんて、
とても恐ろしいものじゃないですか。
特にこの楽器は、普段のオーケストラ編成では、
高い見晴らしの良い所にいることをいい事に、
前の方の弦楽器を指差しながら、
「おいおいおい、弾けてね~な!」とか、
「大変だね~、そんなに音符あんのかよ!」
なんて小声で呟いたり、言い合ったりして、
休みの小節を、212、213、214と指折り数えています。
休みを数える事が最大の仕事なのに、
この演奏会は、トロンボーンだけのアンサンブル、
指を折る休みなんて皆無です。

オケでは一番後ろの人達なのに、
こんな人達が前に出てくるのは面白いもので、
いろいろな事態が起こります・・・
演奏前から、オドオドしたり、はしゃいだり、
緊張して顔が引きつっていたり、照れ隠しで笑ったり、
譜面を忘れて取りに帰るのもいましたし、
次の曲の譜面持って来ちゃってウル覚えで演奏したり、
震えて楽器落としそうな奴もいたりします。
最後までお客さんの顔を見られなかったり、
お辞儀を忘れてさっさと帰りそうになったり、、、
汗で滑ってスライドがカランカランと転がったり、、
と、想像すると悪いことしか起こらない気もする・・。
それでも、成果を見せる事が大事ですし、
音楽をみんなで創り上げる喜びは、
他の何ものにも代え難いと信じてやるのです。

何度も書いていますが、この日私は楽器を吹きます。
いや私は否定していますが、
どうやら、これはソロ曲のようで、
正確な編成は、3人のトロンボーンが伴奏で、
私と合わせて、都合4人のアンサンブルなので、
トロンボーン・カルテットなのだ、と言い張るも、
いやそうではなく、矢張り私は「ソロ」だと言われる。
自分では、そう思うのがもっとも嫌なので、
「皆と一緒ならば怖くない!」と、仲間意識でいるのだが、
学生は私を突き放すように、ソロ奏者扱いをするのだ!
これは、きっと普段私が鬼の様に厳しいから、
仕返しをしたいに気持ちがそうさせるに決まっている。
久し振りに楽器を演奏する喜びよりも、
苦しみを味わうことを強いているに違いない!
神よ・・・

あぁ、どうしよう、楽譜やお辞儀を忘れたり、
緊張のあまり、靴下をネクタイにしていたり、
靴を左右逆に履いたり、楽屋のスリッパのままだったり、
おまけに吹くのを忘れて裏声で歌ってしまった上、
慌てて、司会進行してしまったりしたら、、、。

普段オーケストラの後ろにいる人が前に出てくるのは、
たいした事ではないのです。
いつもの様に演奏すればよいのですから・・・
私は、仕事では普段はお客さんに背を向けているのです。
お客さんなんか見ていないのです。
だから、怖くも無く平然と指揮をしていられるのです。
どうして、前を向いて演奏などしていられよう・・・
クワバラクワバラ。

写真は、平然と前を向く4人の勇者です、恐るべし。
カウンター