くるみ割り人形2006/12/09 23:12

日本の12月の音楽季語ともいうべき、
バレエ「くるみ割り人形」や、オケの「第九」は、
世界共通の12月演目かとおもいきや、
そうでもないことは、割りと皆さんしっていますね。

「くるみ~」は、物語がクリスマスイヴなので、
ぴったりとして、ヨーロッパの12月には、
欠かせない定番公演ですが、
「第九」はどうかというと、
ご存知の方も多いように、12月だからといって、
あまり演奏されるものではないのです。

今では古典音楽の神様みたいなベートーヴェンですが、
当時は、常に革新的な試みで意表を突きながら、
人の何歩も前を歩く人でした。
また、アバンギャルドな活動をしていた
フリードリッヒ・フォン・シラーは、“歓喜の歌”で、
革命意識を助長するような詩を作り、
共感したベートーヴェンが、
最高の傑作に仕立て上げたのですから、
当局としては、「危険人物たちの陰謀」と思っても、
仕方なかったのですね。
日本では、訳もわからず、Fruede!!と、叫んでますが、
単なる「喜びの歌」ではないので、
12月にやる意味はあまり無いわけです。

むしろ、ベルリンの壁が穂崩壊したあとの記念演奏会で、
この曲が演奏されたときなどは、
革命の嵐が吹き荒び、全人民を鼓舞させる曲として、
真の第九の意味を真摯に受け止めたドイツ人達の胸を、
この音楽はさぞや胸を打った事だろうと思います。

それに比べると、
「くるみ割り人形」は、本当に良い。

あの曲は、チャイコフスキーが創った、
3大バレエ最後の曲ですが、
それまでの経験も生きて、
最高のメルヒェンになっています。
チャイコフスキーの哀愁を帯びたメロディーは、
風が、大地の白樺林をゆっくり吹きぬけるような、
土臭い叙情的なものですが、
実に単純な“ドシラソファミレド”という、
音階を降りてくるメロディーが、
何故か泣けてくるほど美しかったりするのです。

クララは、イヴの夜、夢の中で王子に出会って、
きっと初恋の相手になったのでしょう。
王子に手を取られて招待されたお菓子の国で、
自分が知らない観た事もない経験や、
素晴らしい各国の踊りも、何もかもが、
くるみ観り割り人形が変身した、王子との出会いで、
経験することなのです。
でも、目が覚めてお別れになってしまう。
こんな切ないほろ苦さまでが、
「くるみ割り人形」のドラマの中に凝縮されています。

昔は、楽器を吹いて100回以上公演したのかな。
今は指揮していますが、これも勿論良い。
演奏も、指揮も、踊っても、、、いや、これは私には出来ない。
でも舞台観て、音楽聴いていることが、
「くるみ~」の最高の楽しみかもしれません。

新しい記事、
「クリスマスのバレエは、誰と観ますか?」を、
書きました。「くるみ~」公演の情報です。
http://allabout.co.jp/entertainment/classicmusic/

是非、覗いて下さいね。

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