60秒のカルマス信者2008/06/30 10:45

小学校の6年間を思い出しても、
最初の3~4年に比べ、
5、6生時時代は過ぎ去るのが速かったし、
中学、高校、大学、ましてや成人してからの加速度は、
年を重ねる度に増していくものです・・・。
私は、あまり睡眠を取らない体質ですが、
それでも、今や毎日は、
たったの2秒くらいの速さで過ぎてしまう気がする。
1週間なんて、子供の頃の午後くらいの感覚だ。

「コックスとボックス」の東京公演(7/31)まで、
約1ヶ月になったのです。
別に焦っちゃいないのですが、
この感覚ですと、
1分後には、四谷の舞台に立っていることになる。
ん? それはちとまずいな・・・
と、考えると、東京公演から数えて2日目・・いや、
4秒目には機上の人となり、
皆で飲んだくれているはずなのである

昨夜、やらなくてはならない事を書き出したら、、
とんでもない量の作業を抱えていることが判明。

最大の難関は楽譜(オケ譜)の整備と編曲
なにせ、英国公演、GPと本番しかないのである。
トラブルで音楽が止まろうが、事故が起ころうが、
その場所をもう一度返すことも無く、夜の公演を迎える。
英国人の祝祭管弦楽団、
腕1つで稼ぐ、契約プロオケ奏者の意地の公演なのだ。

業界では、「カルマス」という悪魔の代名詞が存在する

響きからして怖そうな「カルマス」は、kal○usと書き、
伏字にしなければ急襲されそうな位に怖い
米国に実在する「譜面配備組織」なのだ。
楽譜が手に入らなくて困った時、
譜面整備が遅れて欠番が見つかった時、
そんな時に泣きつくと、笑顔で状況を聞きながら、
アメリカからだというのに、
中2日で譜面が手元に届く迅速さがウリである。
そう、カルマスとは、
音楽界のアスクル(滅法すぐ来る事務品屋さん)なのだ。
そんな時には涙しながら、
「神よ!助かった、カルマス!友よ!」と、天を仰ぐが、
興奮しながらリハーサルで奏者に配ると、
そこから一気に地獄の果てに突き落とされるような
試練が待っているのだ・・・。

音符のミスならまだしも、さかさまに製本されていたり、
ページが抜けていたりもする。
そんな物理的な問題が無くても、
「小節がたりない!」「強弱はなんですか?」
「アーティキュレーションが・・」
と、苦情の万国博覧会になってしまうのだ。

しかし、仕方ないではないですか!?
世界中で、この出版社しか出していないのですから
え~、え~、私が人知れず作業をすれば良いだけの事ですよ。
先日も、他のオペレッタの仕事リハの最中に、
そんな譜面整備作業の話になると、
ピアニストの方が私に聞くのです。
「それって、指揮者の仕事なのですか?」、と。
堂々と答えました。
「その通りです!こういう仕事をして、
みな譜面とお友達になり、
作品の魂に触れる許しを請うのです」、と。

そこで私は今日、宣言する。
『カルマスという譜面の神と格闘することを誓います』
その勢いと覚悟がなければ、ここの譜面は利用できない。
これは正しい見解なのだが、
わずか60秒感覚で終るのだろうか・・・、この作業。

今、G&S公演用ブログに演出Mr.Kと
共同執筆して盛り上がっているので、
この文章をマイナーチェンジで載せます!
悪しからず・・・。

G&Sフェスティバル参加記念ブログ
「バクストンへの道」
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