カニカンとナスカン2020/05/23 22:30

まぁ人間ってやつぁ時間があるってぇと、
酷く周りのことが気になり出して、
普段なら目ぇ瞑って見ないで放って置いてあることでも
急拵えなマメ蔵に早変わりして周りの小さな事が
目障りで仕様がなくなる、、、これ貧乏性ですな

着物ってものは、特に昔の誂えの物持ちが良く
寸法の立て直しは当たり前だった訳ですね。
絹に限らず、平織の綿だって麻だって保管次第では
持ち方は洋装の比ではないですよね。

特に需要が段違いに多かった戦前、
もっと言えば大正期までは素敵な染物、紡ぎ物、
日本中に豊富にあったはずです。
今ほど殿方の着物は賑やかでは無いかもしれませんが、
やはり絶対数が違うので旧い着物が好きな方の
気持ちはよくわかります。

着物の話はキリがなくやめます。
その周りのモノに気になってしまう話ですが、

・・・羽織の紐が切れました。

普通切れないでしょうが、年代物の古い頂き物なので、
真田紐の端っこの「つぼ」が切れてしまい、
S字鐶(かん)が取れてしまいました。
捨てても良いほど散々使い古した紐なんですが、
なんでしょうね、性分が出ちゃうんですよね。
捨てられないのです。

最近は、写真にあるようなS字鐶なんて使わなくて、
大抵、カニカンかナスカン(缶詰ではない・・・)を
使います。
蟹の手のような形、茄子のような形からこういうらしいですが、
フックがバネになっていて取り付けも外しも簡単ですね。

ただ端っこの「つぼ」が切れてしまっていたので、
この輪っかのツボを作るのはもう諦めまして、
真田紐の端っこから綿糸を縫いつけながら縫製し、
なんとなく結び合わせたのです。
このカニカンをつけた紐を乳「ち」という羽織のキッカケに
引っ掛けて繋ぐのですね。

羽織紐を付け替えるのはそれはそれで楽しいので、
昔のように直付けではなく、カニカンはありがたいのですが、
出先でスッと羽織を脱ぐときは、無粋は無しでして、
羽織紐の両端「乳」の辺りをスッと引っ張ると、
スススと、ちゃんと紐が解けるのです。
この紐の結び方を「喧嘩結び」というのですが、
喧嘩っ早い江戸っ子が腕まくりして
「おう、テメェこのやろう!畜生!」なんて啖呵切るときに
威勢よく羽織を脱ぎ捨てたんでしょうね。
上品な商人の旦那衆がやることじゃありゃしませんね。

然し着物は楽しいな・・。

最近、ステイホームですと、
出掛ける用事が目っきり少なくて、
草履を引っ掛ける機会がなくて困るわけです・・・。

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