日本映画100年史2016/06/27 11:34

敵を知る事も大いに大事な事なのです。

なんて失礼な言い方をするつもりは無いのですが、
映画に限らず音楽ジャンル以外の
文化芸術に限らず、エンターテイメント全般を
知る事はとても必要な事でもあります。
特に日本においても流行りの移り変わりを知ると、
様々な展望が見えてくる事もあるのです。

この本は明治29年(1896年)に遡る事ができます。
「日本映画100年史」

なんと分かりやすいタイトルでしょう!
日本映画の事を詳しく書かれている書籍は
この本に限らずたくさんありますが、
気に入って購入した理由があります。

無声時代からトーキーも含めて、
黎明期の映画の内容などを詳しく書いている
本は他にもあるのですが、
さらに7年前のアメリカで誕生した
セルロイド帯に感光幕を添付したフィルム、
そして日本に渡来した辺りの詳細が
とてもよく書いてあるのです。

明治期に流行った内容は、
地方で見られない歌舞伎であったり、
日露戦争の映像などでしたが、
出征した兵士の活躍などを思う家族が、
たどたどしい当時の映像技術の中に、
我が子の姿を探したかと思うと、
映像の価値がとても高くそして、
重要視されていた時代が窺えます。

この映画というジャンルが明治期から
どのように繁華街に専門館を持つまでに
発展したのかが興味どころですが、
ここを知る事が重要ですね。
450頁を超える文献ですが、
非常に面白く読み進めています。

もうひとつ面白いのは、
この本が北海道ローカル紙の北海タイムスの
夕刊に200回も連載された記事から作られたもので、
いわば地方から見る娯楽の歴史という
面白さもあるわけです。

矢鱈と北海道での記事が多いのが逆に可笑しく、
そこまで流行ったのかという真実味も帯びますね。
いずれにせよ素晴らしい歴史の証言でもあります。

そうそう最近はとての資料本の高騰が目立つのに
この本は相当やすいと思います。
最新刊ですので、最近の映画に関する記述も
もちろん充実しています。

おすすめ!

日本映画100年史
〜明治・大正・昭和編〜
2016年3月30日刊行
著者:西川昭幸
発行:ごま書房新社
2593円(本体価格)
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