新春大歌舞伎2016/01/22 23:40



 新春大歌舞伎に行って参りました。
古い歌舞伎座は一幕見をしによく通っていましたが、新しい歌舞伎座できちんと座って見るのはとっても嬉しいものです。

 建て直しの前には色々な声もありましたが、伝統を伝承しつつ現代的な最新の設備と技術を投入して建て替えられた歌舞伎座に異論のある方はないでしょうね。民間というものはすんなりうまくいくものなのか、国家、政治がが介入すると上手くはいかぬものなのか、、、です。
 

 お正月らしい演目が並び、珍しい廓の三番叟ではじまり、松羽目物でおわるという趣向。通常のドーンとした演目もじっくり見るには良いですが、やはり新春の舞台というのは華やいだ雰囲気が全てにあって良いものです。近代的な舞台ですので、照明もくっきりして色も鮮やか・・・。でも伝統色の浅葱色が明るすぎて水色にほど近かったり、萌黄色なども少し印象が変わったいます。生地や彩色の段階でも伝統色は淘汰されつつあるのか、LED照明になるものなのか、明るすぎる役者の顔も賛否はあるかもしれません。

 歌舞伎の楽しみは色々ありますが、私はとにかく音。
 音、というのは音楽だけではなくて、下座からの効果音としての音から、ツケを聞きにながら大上手に鎮座してこの妙技を披露するツケ打ち名人の姿を見るのも大好きです。
 勿論、長唄、清元、常磐津といった三味線を中心とした所作から舞踊の音楽、また語りを中心とした義太夫の臨場感溢れる声に野太い太棹の音もたまらなく良いものです。
 能にルーツを持てば能管や鼓などの鳴り物がきっちり聞こえ、浄瑠璃などになれば、上手から聞こえる竹本というのも楽しく、正面、上手下手、全ての劇場の音こそ歌舞音曲に欠かせない花形と感じています。
 様々な日本の伝統音楽を知りたければ、歌舞伎座に足を運べば音楽の生きた博物館を全部見られるものですから、見たことのない若者には大変おすすめですね。いやいや私もたくさん勉強させていただいています。
 

 東銀座の駅を降りると、地下で歌舞伎座と繋がっていますが、このホールに出店している数々を冷やかすのも面白いものです。さしずめ浅草の参道と言った風情ですが、もともとの日本の和紙や染めもの、菓子などを扱い、向上を捲し立てながら売り物にしているおっちゃんたちも面白いのですが、やっぱりこの数年の大ヒットはこれでしょうね。
 「歌舞伎フェイスパック」。今では面をつけるようにいろいろな遊びがあるこのパックですが、この遊びのルーツは隈取りに始まっています。こういうニッチな遊びココロが日本の得意ですね。

 便乗したのでしょうが、これが面白い・・・

「くまどりっぷ」・・・って・・・。
まったく隈取りとリップクリームは関係ないのですが、洒落でつくってしまって便乗しています。でも口上が好き。

『感動の舞台を熱く語る唇ヘ』
 理由なんて何でもよいのでしょうが、こういう理不尽を通してしまうような粋な口上が舞台の嘘、傾(かぶ)くという常識を外れた事を意味する歌舞伎の語源に繋がるものです。

 いや〜歌舞伎座、上から下まで面白い。

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