能楽堂2015/04/25 23:49

日頃から地元の活動で
ご一緒することが多い能楽師、
中村昌弘さんの会。

能、能楽の分担は簡単に言えば、
役者か音楽でありますが、
3人が最大の演者数である能では、
シテかワキかで何もかも変ります。
それぞれ流派があり道が違いますが、
特にシテ方の場合は、
単なる主役という虚勢ではなく、
地歌もありますし、
舞台裏では中心スタッフです。
舞台の裏側もプロデュースする立場で
あるという重責がシテ方にはある訳です。

とても良い公演でした。

現代人が観る能空間というのは、
仕組むほうが工夫を凝らさないと、
図書館で眠る心地よさの如く、
歴史の揺り篭になってしまいます。
もちろん慣れた方々は集中して
悠久の時に身を委ねて楽しみますが、
飽きさせない工夫は必要ですね。
番組(能の構成・・・TV番組と言うでしょ)
次第が会全体の魅せ方と思いますが、
素謡(囃子なしの座した謡)にはじまり、
仕舞(囃子無しで地歌で舞い魅せる)から
狂言を組み合わせながら楽しい前半でした。

芸能モノには30分の休憩など、
長い休みを挟む事がおおいのですが、
この休みに一度外に出て散歩するのが、
とても気分転換になります。
この日も15分ほど歩いて、
600年ほど頭を進化させて、
現代に戻しておいてから、
また会場に戻ります。

・・・そういえばワーグナーの
祭典でもあるバイロイト音楽祭は、
やはり幕間を30分ほど取ります。
だからワーグナー見るのに4時間ほど
かかってしまうのですが、
同じように一度頭をスッキリさせて、
空想の神々の歴史物語に思いを馳せると
気分も良く見続けられたりします。
・・・

さて山本さんの会。
後半はメインの「融(とおる)」ですが、
およそ90分の舞台を見事に演じていました。
30代とは言っても3歳に満たぬ頃より稽古、
7歳で初舞台という事を考えると、
立派であって当たり前でもあります。
会場のお客様の応援は勿論ですが、
舞台の地歌、囃子、後見にいたるまで、
引き立てようという気持ちも伝わり、
とても良い終演を迎えておりました。

こういう日を見届けられたのが、
とても幸せでもあります。
自分も頑張らねばと思った次第です。

勝手に写真など撮れぬのですが、
最初に挨拶に出たときの写真。
一斉に撮ってしまって一斉に電源を落とす
という非電脳を徹底したい能ならではの
アイデアは能楽堂の許可もあり
掲載可能写真なのです。

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