ニカワ2007/12/14 23:13

私、製本は誰にも負けません。
指揮者は、演奏者に比べ譜面のページが多いので、
テープで製本というわけには行かないことが多い。
酷いときには、200ページで1幕。
2幕は320ページ・・・とかもあって、
しかも売っていないスコアだったり、
訳詞もので、コピーでなければ使えなかったり・・・
これをコピーするのは簡単ですが、
製本となると皆さん頭を悩ませます。
業界では有名なFedex Kinko’s、通称キンコーズ、
ってのがコピー専門店でありますが、
確かにキンコーズでも製本はやっています。
しかし、これはA4サイズまでなのです。

世の中の書類、いつの間にやらA4が標準です。
これは事務書類や資料、手紙類などは、
保存の関係からいえば便利ですし、
逆にB5の便箋サイズなんて貰いますと、
保存に困って、いつまでも机の片隅に横積みだったり。
私達の命である楽譜も、演奏者のパート譜はどは、
スタジオでの録音仕事の打ち込みの譜面や、
なんてこたぁないアレンジ譜なども、
そう、概してポップス系は今やA4に統一。
これは便利なことですし、私も実際に、
アレンジするときのプリントアウトはA4が便利です。
しかし、本来譜面と言うのはもっといろいろな訳で、
邦楽は元来縦書きの譜面(数字譜)でしたから、
日本古来の譜面は殆どがB5番縦書きです。
では西洋音楽はどうかと言うと、オケ譜もピアノ譜も、
小さなA4サイズは有り得なかったのですね。
オケ譜などは、弦楽器は2人で1冊の譜面を見ますし、
当然演奏距離は離れた距離になるのでA4では小さ過ぎ。
譜面が大きくないと困るのです。

オケ譜はA4より少し大きなサイズの譜面となりますが、
この大きさ、実はとても不愉快なくらい鞄に入らぬ。
しかも、昨今は鞄も文具もA4対応が普通なので、
オケ譜を入れるには、B4対応鞄でないとダメ。
こんな譜面を持ち歩くのに慣れてるオケ奏者は、
この譜面が入る丁度良い大きさの鞄を持っていますが、
学生とか、アマチュアオケの方々は、持っていない。
そうすると、オケ譜のコピーは、みなA4サイズ・・・。
またもや、A4サイズの便利さが出て参るのです。
しかし、オケ譜のA4サイズは幻滅です。
書籍でも、辞書でも、相応しい大きさってものがあります。
立派な初版本はそれなりの装丁であるものですし、
縮小されると、紙面と文字から受ける印象は違います。
譜面でもそれは同じ事なのです。
分相応な大きさ、譜面の顔つきってのは大事なことで、
無闇に便宜上の縮小をするべきではないのです。
少し前までの譜面は、コピーされるのを恐れて、
ワザワザ妙な大きさだったものが多いのです。
しかし、縮小や拡大、ましてや両面にからカラーコピー・・
いやはやなんでも御座れの現代技術では関係なくなり、
諦めも含め、譜面もA4に統一される事が多いのです。

それでも指揮者の譜面はA4ではダメなのです。
B4である必要は無いのかもしれませんが、
24段、32段というフルスコアが、
小さな紙に詰め込まれてしまうと、壮大な音楽観も、
縮小至上主義に負かされてしまっている気分です。
ですから、小さな譜面は嫌い言う指揮者は多いのですが、
そうすると、今度はB4の製本をどうするかという、
永遠の悩みに、これまた多くの指揮者は悩むわけです。
過去10数年に渡って様々な方法を試した結果、
今では誰にも負けないというか、師範並の出来栄えで、
皆に伝授していますし、言わば古式ゆかしき、
ニカワを遣っての包み製本と同じ要領を家庭で施す、
完璧な製本術でA4,B4,さらにA3でも大丈夫なのです。

つい力が入り長い話になりましたが、
来週の公演の仕事、ようやく製本に至り勉強中です。
面白い公演なので、明日にでも紹介いたしましょう。
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